通常の価格帯の靴などが売れ始めた点を見ると、外出自粛で買い物を控えていた中間層がリベンジ消費を担っているのは確かだ。同時に、21年の株高で資産を増やした富裕層もけん引役となっている。とりわけ高価格帯のサービスの回復が目立つ観光分野で、それが分かる。

京都高級ホテル、平日でも満室

 京都を代表する景勝地の嵐山。保津川にかかる渡月橋を望む「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」は、米マリオット・インターナショナルのラグジュアリーブランドホテルで、約1630坪の広大な敷地に39室を配したゆとりある空間が魅力だ。温泉も自慢で、17室には専用の露天風呂が付いている。価格帯は1泊10万円台~50万円程度と、一般にはおいそれと手が届くものではない。

保津川にかかる渡月橋を望む「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」
保津川にかかる渡月橋を望む「翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都」

 20年4月下旬~6月上旬の約1ヶ月半は休館を余儀なくされたが、現在の稼働状況は好調だ。担当者は「京都市に適用された緊急事態宣言が21年9月末に解除され、11月には紅葉シーズンがピークを迎えて予約がかなり入った。平日でも満室の日がある。年末年始の予約状況も順調」と話す。

 「次はいつ旅行に出かけられるか分からない」という状況が続いた結果、宿泊する消費者の目的意識が強まっている。せっかく出かけるならと、オプションプランが積極的に利用されている点からそれが見て取れる。

 伝統工芸の工房に弟子入り体験ができる宿泊プラン「TSUNAGU」は21年10月から22年3月下旬までの提供で、1室2名利用の場合で1人当たり約18万円から。仏師への弟子入りでは、実際に仏閣に奉納される仏像制作の一部を手伝い、陶芸作家のもとでは絵付けの技法を実践する。酒蔵を見学してオリジナルの日本酒を作るプランもあり、1人当たり単価の向上につながっている。

伝統工芸を体験できる宿泊プランなどの需要もある
伝統工芸を体験できる宿泊プランなどの需要もある

 ホテルを経営する森トラストの伊達美和子社長は「20年は緊急事態宣言が明けても、消費者がホテルへの宿泊を躊躇(ちゅうちょ)していた」と振り返る。だが現在は、感染状況が収まっていれば「年度内に爆発的なリベンジ消費が起きる」と話す。場合によっては22年に観光業界は大きく息を吹き返すと見ている。

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