新規感染者数が落ち着いている今、消費の現場で見えてくるのは、底辺まで沈んだ需要が回復傾向を見せているという現象だけではない。コロナ禍前の19年の需要水準を超える動きも点在し、感染状況次第ではあるものの22年にリベンジ消費が盛り上がるサインがあちこちで確認できる。

 コロナ禍のダメージが大きかった百貨店ではその分、需要の揺り戻しが大きい。

 「約2年間にわたって売れなかったパンプスや冬物衣料が売れている。間違いなくポジティブな傾向だ」。高島屋日本橋店(東京・中央)販売第2部の上野直之副部長は婦人靴や婦人服の売れ行きを見てこう話す。

 東京都で断続的に緊急事態宣言が適用された21年5~8月は客数、売り上げがともに19年比で4割減と低空飛行を続けていた。それが10月になると、外出機運も高まったためか、婦人靴の売上高は19年同月比2割増となった。輪をかけて好調なのが冬物衣料だ。高島屋日本橋店では10月から11月にかけて、衣料品として単価の高いコート類の売上高が19年の同じ時期と比べて5割近く伸びている。

高島屋では婦人コート類の売上高が2019年の水準を大幅に上回っている
高島屋では婦人コート類の売上高が2019年の水準を大幅に上回っている

外出意欲の高まりを反映

 当然の話だがよそゆきには相応の靴と服が必要、という点がポイントだ。コロナ禍の中で自宅近くに出るくらいならわざわざ新調しようとは思わないが、これから頻繁に外出するとなれば購入する――。消費者が外出する意欲を取り戻していることが、売れている商品から明確に読み取れる。

 上野氏はワクチンの接種率が上昇する中でこうした変化を予想していた。売り場では客の目を引くためにマネキンの数を20年比で3倍に増やすなど工夫したという。

 二ケタ増加という強い回復の流れは高島屋だけではない。大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングでは、11月の百貨店事業の既存店売上高が20年同月比で14.8%伸びた。ラグジュアリーブランドの伸びはそれ以上で、19年の同じ月と比べ35%も増えたという。「アウトバウンド消費(日本人による海外での消費)ができない受け皿として機能していることに加え、感染状況が落ち着いてギアがさらに上がった印象が強い」(同社)

 すべての百貨店のあらゆる売り場で同じ傾向というわけではもちろんなく、コロナ禍前から百貨店が競争力を失っていた地域などで客足が戻らないケースもある。大都市圏であっても商品によっては需要は落ち込んだまま。それでも22年を前に業界関係者は「08年のリーマン・ショック時のような絶望的な日々が続いていたが、やっと復活の兆しが見えてきた」と明るい表情だ。

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