オンライン予約を「行動経済学」に学ぶ

最近はどんな本を教科書にしているのでしょうか。

星野氏: 3冊挙げると、1つがダン・アリエリー氏の『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』です。消費者が「常識」だけで購買行動を選択しているわけではなく、「常識」と違う不合理な選択もしていることを証明しており、非常に興味深いと思います。

 星野リゾートは最近オンライン予約の促進に力を入れ、「どういう表示をしたら、さらに予約してもらえるか」を考えています。いろいろやってみると、どうも顧客は合理的な判断をしないことがあるようだと思っていました。その背景にどんな心理があるのかを同書から学びたいと考え、社内のマーケティングチームと内容を共有しています。

 アリエリー氏は同書で消費者の行動についてさまざまな実験をしています。インターネットの時代には星野リゾートの予約ページでもいろいろな実験ができますから、アリエリー氏の実験をどう活用できるかなどについても議論しています。行動経済学はここ5年ほどで教科書がどんどん生まれており、星野リゾートの経営にとっても重要な分野です。

 
自社の課題に合った教科書を選ぶ
●星野代表が最新教科書にする3冊
<span class="fontSizeL">自社の課題に合った教科書を選ぶ</span><br />●星野代表が最新教科書にする3冊
『予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』
ダン・アリエリー著 早川書房
行動経済学研究の第一人者が人間の不合理な決断について実験の事例に基づいて解説する

 インターネット関連では、シーナ・アイエンガー氏の『選択の科学』も少し前から教科書にしています。同書から学んでいるのは「どうしたら選んでもらいやすくなるか」です。選択のバラエティーは消費者にとってよいと思われてきたのですが、そうではないのです。例えば「全施設から行きたいところを選んでください」と伝えても混乱します。むしろ、「あなたに合っているのはこの施設とこの施設です」と伝えたほうが消費者は選びやすいのです。

次ページ AIを活用した「ぴったりホテル診断」