作業服大手のワークマンの改革を推進してきた専務の土屋哲雄氏は経営学の教科書を熱心に読む1人だ。土屋氏は「教科書で経営の正当性を確認すると、自信が生まれる。その意義は大きい」と話す。

ワークマン専務の土屋哲雄氏(写真:栗原克己)
ワークマン専務の土屋哲雄氏(写真:栗原克己)

 土屋氏はプロ顧客をターゲットとする作業服専門店に「データ経営」を導入しながら時間をかけて社内を変革。アウトドアやスポーツ向け衣料品を豊富に扱う「ワークマンプラス」や女性向け機能性衣料品を中心に扱う「#ワークマン女子」も立ち上げ業績を伸ばす。

 さまざまな経営書を読み、経営の参考にしている土屋氏。読むのは月に3、4冊で年30~40冊ほど。読む本はメディアの書評を読んだりインターネット上のカスタマーレビューを参考にしたりしながら、自社の課題に合わせて選ぶ。ベストセラーなどの本よりも、「ファンダメンタルなことが書いてある本」を読むことが多い。「フレームワークよりも理論のほうに関心があり、特に大規模なデータによって証明された理論に興味がある」。また、海外の本を英語で読むこともあるが「事例が多すぎる」ため、中心は国内の本だ。本の購入はインターネット経由もあるが、書店で本を手に取って眺めながら選ぶことが多い。建て替え工事が始まる前、本を探すために東京・神保町の三省堂書店神保町本店に頻繁に足を運んでいた。

 「朝型」だという土屋氏は、毎日午前3時に起床する。起きてからの1時間ほどが読書の時間だ。朝本を読む理由について、土屋氏は「一番頭がさえているし、何かに妨害されることがない」と説明する。読書は土屋氏にとって「考える時間」のため、寝転がって読むことはない。机の前に背筋を伸ばした姿勢で座り、絶えず自分の仕事に引きつけながら読む。オフィスに直接向かう日は午前6時に出社するが、特に興味深い本に出合ったときは、出社まで2、3時間を読書に充てることもある。あらかじめじっくり選ぶため通読がほとんどだが、合わない場合には途中で読むのをやめる。

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『教科書経営 本が会社を強くする』

ビジネスに本当に役立つ本を「どう選び」「どう読み」「どう生かすか」が分かる超実践型のガイドブックが登場! 星野リゾート代表星野佳路氏、刀代表取締役CEO森岡毅氏、ワークマン専務土屋哲雄氏、ジャパネットたかた創業者髙田明氏らが、経営学などの教科書を実際の経営にどう生かすかを具体的に解説。早稲田大学大学院入山章栄教授、神戸大学加護野忠男名誉教授らは経営学と実際の経営の関係を語ります。ぜひお読みください!