経済学の成果を経営に生かす動きが米国などで進む中、国内で実務者と経済学者が共同で立ち上げたのがエコノミクスデザイン(東京・新宿)だ。経済学に基づくコンサルティングと教育を掲げており、注目が集まる。共同創業者で社長を務める今井誠氏と、共同創業者で慶応義塾大学経済学部教授の坂井豊貴氏に狙いや現状を聞いた。

経済学をビジネスに実装する取り組みを進めています。
今井誠氏(以下、今井氏):私はもともと不動産のオークション事業を手がけていました。他社と差異化する方法を探っていたとき、米国のI T大手が経済学者を採用していることを知りました。調べてみると米国では経済学の知見をビジネスに取り入れるのが当たり前でした。しかし、日本ではそうした動きがほとんどありませんでした。国内でも学知のビジネス活用を進めようと、経済学者と2020年6月に共同創業したのがエコノミクスデザインです。法人向けにコンサルティング業務を、個人・法人向けに「ビジネス特化の経済学」スクールを提供します。
学問は、その性質上、ビジネスで強力に働くと実感しています。何よりも再現性があるので成功を再現できるし、データから学べば、独善や思い込みに陥らないため失敗を再現せずに済みます。こうした取り組みで先行する米国では、例えばアマゾン・ドット・コムやグーグルを運営するアルファベットは会社の内部に経済学者を抱えています。一方、当社は経済学者が共同創業者となっている会社であり、海外にもあまりないと思います。
坂井豊貴氏(以下、坂井氏):米国では経済学の博士号を持つ人がどんどん企業に入る流れができていますが、日本の企業は経済学博士をあまり雇おうとしていません。それならば経済学者が集まった会社をつくり、企業から仕事を依頼してもらう形のほうが日本社会になじむと思いました。
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