経営学の泰斗、神戸大学の加護野忠男特命教授に経営学と実務の関係について聞いた。加護野氏によると「経営学を役立てるかどうかは、実務家の姿勢と能力による」という。

加護野忠男 神戸大学特命教授。1947年生まれ。専門は経営組織・経営戦略論。著書に『松下幸之助に学ぶ経営学』など(写真:尾苗 清、以下も)
加護野忠男 神戸大学特命教授。1947年生まれ。専門は経営組織・経営戦略論。著書に『松下幸之助に学ぶ経営学』など(写真:尾苗 清、以下も)

 経営学を実務家はどう役立てるべきかについてお伝えすると、そもそも経営学という概念は日本独自のものです。米国にはありません。ドイツには経営経済学という概念がありますが、経営学という名称はありません。

 経営学を役立てるかどうかは、実務家の姿勢と能力によります。「経営の神様」といわれたパナソニックホールディングス創業者の松下幸之助氏は、日本の経営学の創始者である神戸大学の平井泰太郎教授とコンスタントに接触し、情報交換をされていました。

 経営学との付き合い方という点においては例えば、松下幸之助氏、ホンダの本田宗一郎氏、ダイエーの中内功氏の3氏に共通しているのは、仕事を始めてから学校へ通って基礎的な勉強をされていることです。

 中内氏は、神戸・三宮の闇市で仕事をしながら、神戸大学経営学部の夜間課程で勉強されました。学徒動員で戦場から帰ってきた人々に経営学教育をするという目的で設立された課程です。中内氏が亡くなる直前に、経営学の授業で役立ったのは何ですかと聞きましたら、平井教授の授業ではなく、教養科目の日本国憲法だとおっしゃいました。これからの日本がどうなるかが分かったからだ、と言われていました。新しい憲法には日本社会の将来設計の思想が組み込まれていたからです。

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