「教科書通りの経営」と聞くと現実に即していない理想論の経営のようなイメージを持つ人も少なくないだろう。だが、本当にそうなのか。経営学の教科書は緻密な研究に基づいて書かれており、その内容は信頼度が高い。実はこうした経営の教科書を使って成長を続ける会社がある。星野リゾート、スノーピーク、エレコム……。優れた会社が実践する「教科書経営」の実態に迫る。
シリーズ
会社を強くする「教科書経営」

20回
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『ブランド・エクイティ戦略』も実践 注目スタートアップの試み
長崎市に本社を置くスタートアップ企業、カブクスタイルは、毎月定額で国内外の宿泊施設に滞在できる“旅のサブスク”「HafH」(ハフ)を展開し成長が続く。砂田憲治代表は経営学の教科書などから受けた刺激を実際の経営に生かしてき…
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元DJの三代目 『競争の戦略』を読み、家業を20倍に
カスタムジャパン(大阪市)は、バイク部品をインターネット経由でバイクショップや整備工場などに卸販売し、急成長する。社長はクラブでDJだった村井基輝氏。膨大な経営書を読んできた村井氏は「9割は本の知識でここまで来た」と強調…
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ジャパネットたかた、創業者が「20年以上学び続ける」本とは
ジャパネットたかたの創業者、髙田明氏は1店のカメラ店からスタートし、テレビやラジオの通販番組でビジネスを飛躍させた。髙田氏は本を経営者としてのあり方を考えるきっかけにしてきた。
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ワークマン土屋氏 経営学の教科書を通じて経営の正当性を確認
作業服大手のワークマンの改革を推進してきた専務の土屋哲雄氏は経営学の教科書を熱心に読む1人だ。土屋氏は「教科書で経営の正当性を確認すると、自信が生まれる。その意義は大きい」と話す。
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刀・森岡氏の「数学マーケ」 海外論文から独自モデルを構築し実践
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)を再建した森岡毅氏。現はマーケティング支援会社、刀を率いる森岡氏は海外の経営学の論文を読み、それを生かした独自モデルを構築して実践する。森岡氏にその経緯と勘所などを聞いた…
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グロービス堀氏「MBAスクールに陽明学を取り入れた理由」
グロービス経営大学院の堀義人学長によると、経営学は実際の経営に役立つが「丸暗記では使えない」という。そのために必要な考え方、さらに体形的な経営学でも足りないと思ったことなどを堀氏が語った。
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ユーグレナ出雲氏「信頼する人に、自分の読む本選びを委ねる理由」
ミドリムシを培養して活用するユーグレナの創業社長の出雲充氏は、読書に「経営・人生の師匠」から受けた2つのアドバイスを生かす。さまざまな本を読み、その内容を実行している。
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「経済学の成果を経営に生かす」会社を立ち上げた理由
経済学の成果を経営に生かす動きが米国などで進む中、国内で実務者と経済学者が共同で立ち上げたのがエコノミクスデザイン(東京・新宿)だ。共同創業者で社長を務める今井誠氏と、共同創業者で慶応義塾大学経済学部教授の坂井豊貴氏に狙…
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神戸大加護野氏「経営学、ビジネスパーソンは基本を学ぶべきだ」
経営学の泰斗、神戸大学の加護野忠男特命教授に経営学と実務の関係について聞いた。加護野氏によると「経営学を役立てるかどうかは、実務家の姿勢と能力による」という。
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日本交通・川鍋会長「ドラッカー氏と稲盛氏の著書に共鳴する理由」
経営の原理原則を確認するために、経営学者や経営者の言葉を参考にする経営者は少なくない。タクシー・ハイヤーの日本交通で会長を務める川鍋一朗氏は、ことあるごとに自らの「教科書」とする本を読み返しながら、経営の在り方を考えてき…
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高収益のエーワン精密 創業者が読む「松下幸之助氏と中国の古典」
金属加工用工具メーカー、エーワン精密は利益率が高い会社として知られる。相談役で80代の梅原勝彦氏は、松下幸之助氏の著書や中国の古典を通じて、社員との関係や経営者としての在り方を考えてきた。
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中川政七商店の13代目、経営書で300年企業変えた
創業300年超の中川政七商店の13代目、中川政七会長。周囲に頼れない状況の中、経営書を生かしながら組織やブランドのあり方を見つめ、成長に導いてきた。「理論体系がしっかりした本」が支えになった。
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大人気シャンプー「ボタニスト」 ヒットを支える「教科書経営」
グローバルブランドがひしめくヘアケア市場において、I-neは「ボタニスト」がシェアを伸ばし、関係者の注目を集める。若い経営陣は経営にまつわる本を教科書として活用しながらユニークな取り組みを進める。
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人類史、儒教と武士道…「人間とは何か」を学ぶことが経営に役立つ
ビジネスパーソンにとって教科書になるのは経営学の本だけではない。医療品原料などを扱う東証1部上場のアステナホールディングスの岩城慶太郎社長CEO(最高経営責任者)は東京から能登半島の先端に活動の拠点を移転。ハンナ・アーレ…
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エレコムを1000億円企業に成長させた「経営学オタク」
パソコン周辺機器大手エレコムの葉田順治会長は「経営学オタク」を自任し、教科書の知識を実践につなげてきた。かつては直感による “有視界飛行”だったが、理論を取り入れた“計器飛行”に切り替え、事業を成長に導いた。
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スノーピーク、ファンが熱狂する経営の裏側に「教科書」があった
アウトドア用品を手掛けるスノーピークの山井太会長は毎年キャンプのテントで多数の日数をすごす一方、海外の経営学の論文などを25年以上読み、いろいろな理論を経営の参考にしてきた。
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入山章栄氏「経営に正解はない。優れた経営者は考え続けている」
どれだけ経営学が精緻化しても、最終的には経営者は打ち手を自ら考え抜かなければならない。早稲田大学の入山章栄教授は「経営に正解はない。経営学は考える枠組みの1つ」と強調する。
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YKK「ファスナー世界トップ」への躍進を支えたコトラーの教え
経営者は具体的に教科書から何をどのように学んでいるだろうか。YKKの吉田忠裕相談役は課題を前に経営学者フィリップ・コトラー氏の言葉を頭に浮かべながら、打つ手を模索してきた。
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優れた経営者は“自分の業界以外”でも鋭く分析できるのはなぜ?
研究の最前線に立つ経営学者は「教科書」と実際の経営との関係をどう考えているだろうか。戦略論、組織論の第一人者一橋大学の沼上幹教授に話を聞いた。「経営者は最新の経営学の動向にも気を配るべきだ」と説く。
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星野リゾート代表「100%教科書通り」の経営が会社を強くする
経営学の教科書は緻密な研究に基づいて書かれており、その内容は信頼度が高い。マネジメントに生かせば成功確率を上げられるはずだが、「どう使えばいいか分からない」という声もある。まずは「教科書通り」の経営を実践するという星野リ…
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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グルメサイトという幻
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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テスラが仕掛ける電池戦争
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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