ワークとライフ、公私の区別は薄れていく

 もともと日本の社会には、さまざまな矛盾や問題点がありました。それがコロナ禍で一気にふき出したことで、今後はその矛盾を無視できなくなり、大きな変化が起きていくでしょう。

 そして5GやAIなど、身近なところでさまざまなテクノロジーが進化し、変化は加速していくはずです。

 このようなメガトレンドの中で何が起きるのかというと、私は「公私混同」が進むのではないかと見ています。

 これまでは、「公」の世界と「私」の世界は分けるべきだという考えが主流でした。仕事は職場でやって家ではプライベートな時間を過ごすべきだということを「当たり前だ」と捉えている人は多いでしょう。

 コロナ禍によってテレワークの導入が進んだとき、受け入れがたいと感じた人が少なくなかったのは、公私が混然一体となった新たな世界への抵抗感によるものではないかと思います。

 しかし今後、場所を問わず仕事をする人が増えることで、公と私の境目は必然的に薄れていくことになりそうです。

「家族で一緒に遊びに行く」オフィスづくり

 私が経営するレオス・キャピタルワークスでは、未来のオフィスのあり方を考えて抜本的に変えていくプロジェクトをスタートしていますが、このオフィス変革プロジェクトのキーワードも「公私混同」です。

 従来は「仕事は職場に行って仕事仲間とやり、家に帰ったら仕事のことは考えずにプライベートな時間を過ごす」というように公私が切断されていましたが、コロナ禍をきっかけに家というプライベートな場所に仕事が入ってくることになりました。

 それではオフィスはどうあるべきかと考えると、プライベートの中に仕事が入ってきたのと同じように、オフィスの中にプライベートが入り込み、場所を問わず快適に働きながら暮らせるようにするのがよいのではないかと考えているのです。

 たとえば、プロジェクトの議論の中で私たちがイメージしている新たなオフィスは、ひとりでこもって作業したりオンラインミーティングができたりする個室のブースがたくさんあるほか、もちろん社員が集まれる会議室もあります。ほかのスペースは、公園や図書館になるようなイメージです。

 土日も開いていて自由に出入りできるオープンな場所で、そこにはおしゃれなカフェもあるかもしれません。公園のような場所ですから、もちろん家族で来ても構いません。

 「家族で会社に遊びに行こう」「ペットを連れて行ってのんびりしよう」といったオフィスの使い方もありうるかもしれません。

 もちろん、場所を問わず公私混同で働きながら暮らす場合、仕事のパフォーマンスをしっかり測定する必要があります。

 これまでのように「会社にいる時間=仕事をした時間」と見なすやり方では何も測定できなくなりますから、「公私混同」と「仕事の成果にフォーカスして評価する仕組み」はセットです。

オフィス改革でペットを連れてのんびり仕事も可能に(写真:BublikHaus/shutterstock.com)
オフィス改革でペットを連れてのんびり仕事も可能に(写真:BublikHaus/shutterstock.com)

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