過去20年、日米の最大の差とは?

 私のファンドマネージャーとしての投資歴は30年以上になります。この間、8000人以上の企業トップと対話し、企業訪問も重ねてきました。

 また、私は個人投資家としてベンチャー企業に投資することもあります。起業家としては、2003年に創業したレオス・キャピタルワークスを経営しており、2020年に時価総額1000億円超えを達成したプレミアムウォーターホールディングス、HOYAから2021年に分社独立したViXion(ヴィクシオン)の創業メンバーでもあります。

 このほか、私には教育者としての顔もあります。2021年まで20年ほど明治大学商学部兼任講師としてベンチャーファイナンス論を担当し、現在は東京理科大学MOT(経営学研究科技術経営専攻)特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授として多くの学生に講義を行っています。

 このような立場から、私は国内外の株式市場や起業家の動向、若者たちの意識の変化などを見つめ続けてきました。

 今から20年ほど前、私は日本に対して絶望的な気持ちを抱いていたものです。

 その頃の私は外資系運用会社で働いていたため、欧州やアメリカを行き来する機会が多く、ベンチャーブームに沸くアメリカの様子を目の当たりにしていました。

 2000年前後は、インターネットの普及と共にグーグルやネットフリックス、フェイスブックといった企業が誕生し、アップルやマイクロソフトなどIT業界の老舗企業が再生していった時代です。

 当時のアメリカでは、ハーバード大学やスタンフォード大学、コロンビア大学などを卒業した優秀な学生のトップ層が自分で起業したりベンチャー企業に入ったりするようになっており、その次の層がコンサルティング会社や投資銀行に行き、次の層が中堅企業に行き、大企業を選ぶのはさらにその次の層でした。

 そして、成功した起業家たちが後に続く起業家を支援することで、多様な新興企業が続々と誕生していくことになりました。

 一方、当時の日本では最優秀層は官庁か大企業に就職するのが当たり前でした。日本が変化のない社会を選択していることは明らかであり、急激に変化していくアメリカの状況と比較すれば、日本の明るい未来を思い描くことは難しかったのです。

 実際、その後の20年間の日米の違いは時価総額上位銘柄の顔ぶれに現れています。

 まず、日本を見てみましょう。

『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)8ページより
『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)8ページより
[画像のクリックで拡大表示]

 2000年12月末時点と2020年12月末時点のTOPIX時価総額上位ランキングを見ると、いずれも通信会社、自動車メーカー、電機メーカー、メガバンクなど、いわゆる「一流大手企業」がずらりと並んでいることがわかります。

 2000年末の上位5社はNTTドコモ、トヨタ自動車、日本電信電話(NTT)、ソニー、みずほホールディングス。2020年末時点はトヨタ自動車、ソフトバンクグループ、キーエンス、ソニー、日本電信電話(NTT)でした。

 では、アメリカはどうでしょうか? 

『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)10ページより
『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)10ページより
[画像のクリックで拡大表示]

 2000年の上位5社はゼネラル・エレクトリック(GE)、エクソンモービル、ファイザー、シスコシステムズ、シティグループでした。

 これが2020年には、アップル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット(グーグルの持ち株会社)、フェイスブック(現Meta)へと入れ替わっているのです。

次ページ さらば悲観論! 明るい見通しを持つ理由