『進撃の巨人』『鬼滅の刃』など話題作が続々と登場し、活況を呈するアニメ業界。作品に登場するキャラクターの声を演じ、作品の魅力を高める「声優」は、今や「小中学生が就きたい職業ランキング」の上位を占めている。
 1500人以上がひしめく声優のなかで、人気実力ともにトップクラスといわれる1人が、梶裕貴。テレビアニメ&劇場版にもなった『進撃の巨人』で主人公のエレン・イェーガー役を演じた梶はアニメや吹替えといった声の表現にとどまらず、舞台やTVドラマにも数多く出演。登録者数が37.3万人(2021年11月現在)にもなる自身のYouTubeチャンネルで自ら企画した朗読を配信するほか、アパレルブランドのプロデュースなど、様々な形で活躍の場を広げながら、声優の魅力と可能性について発信し続けている。
 そんな梶が考える「アニメ」「声優」を取り巻く環境の変化と今後の可能性とは? 著書『梶裕貴 対談集-えん-』(日経BP)から一部を抜粋・再編集してお届けする。

日本のアニメは世界基準のエンタテインメント

 声優・梶裕貴が主演を務める『進撃の巨人』 は、全34巻の単行本の発行部数が世界累計で1億部を突破し(電子書籍含む)、2013年に放送がスタートしたテレビアニメは、最終章となるThe Final Season Part 2が、NHK総合で22年1月9日より放送開始。過去には劇場版が4作も公開されるなど、絶大な人気を誇る諫山創原作のダークファンタジー作品だ。

梶が主人公を務める『進撃の巨人』。The Final Season第76話「断罪」が22年1月9日(日)24時5分放送開始(NHK総合)<br/>©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
梶が主人公を務める『進撃の巨人』。The Final Season第76話「断罪」が22年1月9日(日)24時5分放送開始(NHK総合)
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会

 ほかにも、劇場版の興行収入が400億を突破し大きな話題となった『鬼滅の刃』や、2作連続で観客動員数が1000万人を突破した、新海誠監督の映画『君の名は。』『天気の子』 など、社会現象となるアニメ作品が平成から令和にかけて続々と登場した。

 近年は、世界190以上の国で配信サービスを行っているNetflixや、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+」が、日本発のアニメ作品を配信・制作。そのクリエイティブの素晴らしさは、今や日本が世界に打ち出すカギとなっている。アニメは、子どものみならず、大人をも夢中にさせる、一大エンタテインメントとなったのだ。

 その背景には、制作側の表現の変化と、視聴者側の意識の変化があるのでは、と梶は語る。

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