複眼的思考が求められる移民政策

 人口問題を考える上で、出生率の向上施策と並んで、大きな議論となる「移民政策」については様々な論点がある。欧米諸国においても、当初、政府が描いたシナリオどおりに物事が進まず、時がたつにつれて予想していなかった問題が顕在化し、困難な状況下で苦しい政策変更を行わざるを得なかった歴史がある。

 移民の問題については、国内の労働力確保という視点だけでなく、「国民(nation)とは一体何か」という基本論や、送り出した国と移民とのつながりであるディアスポラ・エンゲージメント(diaspora engagement)など、国際政治の視点からの議論も必要となってくるため、人口問題解決の手段として、軽々に論じることはできない。

 以上のように、日本の人口急減を止めるためには、わが国の社会や経済の根幹にかかわる多くの課題の解決が必要となるが、一方で、我々に残された時間は少ない。一刻も早く、国民的な議論を開始し、人口減少問題の解決のための抜本的な改革に取り組んでいくことを強く望みたい。

ここ2、3年に手を打たなければ
日本人1億人維持は難しくなる

 コロナ禍で出生数の急減が進む。日本は手をこまねき「小国」となってしまうのか。内閣府の百瀬統括官や野口参事官らは、新政権と人口政策に取り組む。そこで突き付けられたのは、あまりに厳しい現実だった。そして抜本的な改革案にたどり着くが……。
 介護保険の立案から施行まで関わった著者が、小説形式で、人口問題の現状と解決策を探る、あまりにリアルな衝撃作。

山崎史郎(著)、日本経済新聞出版、2640円(税込み)

この記事はシリーズ「「一億人割れ」の衝撃 人口減少を止める方策はあるのか」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。