子どもを生み、育てるのは社会全体の責任

 しかし筆者は、親世代が子ども世代のために保険料を負担する理由には、将来、子ども世代から扶養してもらう、という受益が期待できることがある、と考えている。

 現代社会では、子どもがいない人も高齢者も、子ども世代が支える年金や医療保険、介護保険を通じて「社会的扶養」の受益を得ているし、将来得る可能性がある。

 つまり、子どもが生まれ、育つことは、社会のすべての人にとって、自分の老後生活を支えてくれる人が増えることを意味している。そう考えれば、自分は社会から何もサポートを受けるつもりはないので負担しない、とは言えないのではなかろうか。

 世論調査でも、国民の9割以上が「子どもを生み、育てることによる負担は社会全体で支えるべきだ」と回答している。国民各層にわたる真剣な議論を心から期待したい。

不妊治療と妊娠前ケア、結婚支援が重要

 子ども保険構想以外にも、人口戦略として考え得る、各種の施策について考える必要がある。

 3本柱のもう1つは、「②不妊治療とプレコンセプションケア(妊娠前ケア)の充実」である。男女の妊娠適齢期について若者がしっかり認識する必要があり、またAMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)やライフプランの普及なども重要なテーマとなる。

 残りの1つの柱は、「③結婚支援の取り組み」だと考えている。「結婚を望みながらも、出会いの機会に恵まれないがゆえに、結婚していないケース」が増えている。これについては見合い結婚が果たしてきたマッチング機能を再評価すべきではないだろうか。

 日本の出生率が低いのは「婚外子」が少ないから、という一部の意見については、フランスやスウェーデンでは婚姻制度が2種類あり、最近は簡易に結婚や離婚ができるPACS(フランス)やサンボ(スウェーデン)という制度を利用する若者が多くなっていることが、婚外子が多い要因である。その点で、日本の結婚制度はPACSなどと同程度に簡易な制度であることから、結婚制度が出生率回復の支障となっているわけでない、と考えられる。

結婚支援も出生率回復のための対策の柱になる(写真:Aya2018/shutterstock.com)
結婚支援も出生率回復のための対策の柱になる(写真:Aya2018/shutterstock.com)

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