「両立支援」のカギを握る育休制度

 3本柱の中心は、「結婚し、出産を希望しているが、仕事との両立から、それが難しいケース」を支援する“①両立支援策”である。スウェーデンやフランスなどの高出生率国と比べ、日本の両立支援策は、今なお質量ともに大きく見劣りしている。

 その点で、筆者が子どもの乳児期、幼児期、児童期のいずれにもかかわり、両立支援策全体のカギを握っていると考えるのが、「育児休業制度」である。育休制度は、産休と合わせて乳児期に位置し、時短制度や保育制度とのかかわりを通じて、幼児期や児童期にも大きな影響を与え得る。

 「一波動けば万波生ず」という展開が望まれるとしたが、日本の場合は、育休制度の抜本的改革によって、そのような展開が期待できるのではないか。

 つまり、日本の育休制度がスウェーデンの「両親保険制度」のような仕組みに変われば、子育て世代が時短制度を活用するようになり、男性育休が広がり、待機児童や長時間保育の問題の解決も大きく前進するのではないか、と考えている。そして最も重要なのは、正規職員だけでなく、非正規雇用や自営業、無職の若者の出産・子育ても支援対象とすることである。

「育児休業制度」の抜本的改革が両立支援策のカギを握る(写真:umaruchan4678/shutterstock.com)
「育児休業制度」の抜本的改革が両立支援策のカギを握る(写真:umaruchan4678/shutterstock.com)

すべての子どもを対象とする「子ども保険」構想

 筆者は、こうした育休制度の抜本改革とともに、児童手当の大幅な拡充(高校修了までを対象とし、手当額を増額)を実現する具体的な制度案として、「子ども保険」構想を提案している。

 この構想は、すべての子どもの養育を支援するという意味で、スウェーデンなどと同様、普遍的な施策である。子ども保険は、すべての成人からなる「親世代」が拠出する「子ども保険料」と、企業が拠出する保険料、公費である国費と地方負担によって、社会全体で連帯して支え合う仕組みである。

 高齢者を含めた親世代が、未来を担う子ども世代を支援する、恒久的な財源のある分配政策であるといってもよい。この新たな社会保険システムは、世代間や正規・非正規間の格差解消にもつながり、わが国における「全世代型社会保障」の完成につながると考えている。

 子ども保険は、かつて政治レベルで構想として打ち上げられたが、それ以上の具体的な制度としての議論は行われなかった。

 当時、様々な意見や批判があったが、その1つに、「親世代といっても、子どもができない人もいれば、自分の意志で子どもを持たない人もいる。そうした人の多くは、保険料負担に反発するのでないか。高齢者にまで保険料を出させるのには無理があるのではないか」という反対意見があった。

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