大量生産の次にくるビジネスモデルは何か?
谷:アマゾンは米国企業にしては、創業初期から在籍する幹部が多く、あまり会社を辞めていないという意味でも珍しい存在です。一方で、転職した数少ない元幹部に米HuluのCEOにヘッドハントされ、米ワーナーメディアのCEOに就任したジェイソン・カイラーがいるなど、隠れた人材輩出企業でもあります。
私がかつて在籍した企業でいえば、GEもリーダー教育に力を入れていましたが、GEはやはり圧倒的に「知の深化」に強く、イノベーションを目指すリーダー教育とは少し違ったという印象があります。
入山:確かにGEには優秀な人が多くいますが、起業家を輩出するイメージではないかもしれない。
つまりアマゾンには、イノベーションを起こす仕組みもあれば、イノベーションを起こすリーダーを育てる仕組みもある。けれど、その仕組みのなかには「リスクが高い事業に賭ける」とか、「カニバリを恐れない」だとか、普通の経営者には選びにくい選択肢が多くある。
ソニー出身の谷さんには、日本の大企業を変えなくてはいけないという危機感が強いと感じます。しかし、大企業の中堅どころの社員からすれば、「うちの今の経営陣では、こんなことはできないよ!」というのが本音じゃないかと思います。アマゾンの仕組みを大胆に取り入れるには、やはり経営トップの決断が必要で、最初に飛びつくのはむしろ、若いベンチャー企業の経営者なんじゃないかと、僕は感じました。
平成ベンチャーへの期待
谷:そうですね。本にも書きましたが、私は平成生まれのベンチャー企業に大いに期待しているのです。
例えば、ビズリーチ(ホールディング会社はビジョナル)、freee、メルカリ、ラクスルなど。これらのベンチャーは、いずれも掲げているミッション、ビジョンが素晴らしいのです。
平成ベンチャーのミッション、ビジョンには、戦後の大量生産・大量供給で生じたデメリットを解消し、個人やスモールビジネスがよりいきいきと活躍できて、資源の無駄使いのない社会を実現するという方向性において、共通項が見出せます。新しい時代の到来を感じさせる、スケールの大きさがある。そんな若き日本のベンチャーが、これから世界に打って出るとき、『Amazon Mechanism』の体系を参考にしていただけるなら、望外の喜びです。
アマゾンの事業成長のメカニズムを初めて体系化した1冊。
「GAFA4社で
日本企業と最も相性のいい
仕組みを持つのがアマゾン。
その全容を体系化した意義ある1冊」
―― 早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄氏 推薦
アマゾンには、画期的な新規事業を
組織的に連続して起こす
「イノベーション量産の仕組み」があります。
◆ アマゾンのイノベーション量産の方程式
【ベンチャー起業家の環境】
×【大企業のスケール】
-【大企業の落とし穴】
=【最高のイノベーション創出環境】
【ベンチャー起業家の環境】とは、
「普通の社員」を「起業家集団」に変える仕組みです。
そこに【大企業のスケール】を与えることで、
起業家よりも恵まれた環境に社員を置き、そこから、
【大企業の落とし穴】をマイナスすることで、
【最高のイノベーション創出環境】が完成します。
本書では、この方程式を実現するための
「アマゾン・イノベーション・メカニズム」を
24個の「仕組み・プラクティス」に分解して解説します。
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