アマゾンには「製造業の感覚」が合う

:GAFAのなかで、製造業の感覚で働いて合うのはアマゾンだと思うのです。

入山:ああ、アマゾンには物流というリアルな現場があるから。

:そうです。フルフィルメントセンター(配送センター)でも膨大な人数のスタッフを雇用していて、そのような組織の運営も日々、改善していかなくてはいけない。それは、グーグルやフェイスブックにはない要素で、PDCAサイクルを緻密に回すことが求められます。

 私がかつて働いた米国系企業では、GEも緻密な会社でしたが、アマゾンにはそれを上回るところがありました。例えば、オンライン販売における商品の品揃えやタイムリーな配送についての数値目標は、ビップス単位(1/100パーセント=1万分の1/「ベーシスポイント(bp)」とも呼ばれる)の精度で計測し、計画対比で分析していました。計画と実績に差があれば、原因を究明してリカバリーします。つまり、アマゾンは「ビップス単位でPDCAサイクルを回す」のです。

 そういう緻密なところもありながらも、大胆にイノベーションに挑むという両面を併せ持つのが、アマゾンの特徴です。まさに「両利きの経営」です。入山先生が監訳されている『両利きの経営』(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L.・タッシュマン著、渡部典子 訳/東洋経済新報社)を拝読して、我が意を得た思いがしました。

入山:組織として、すでに持つ知識や能力を磨き込む「知の深化」だけにとどまらない。既存の認知の範囲を広げて、新しい知識や能力を獲得する「知の探索」にも貪欲に取り組んでいるのがアマゾンであり、「両利きの経営」を実践している企業である、ということですね。

:アマゾンという会社は、実務においては、既存のビジネスの改善に使っている工数や能力がすごく大きい。けれど、心としてはイノベーションにつながる「知の探索」に8~9割の比重を置いています。そこは、すごくユニークなところですね。

(今回は対談の前編です。次回、後編に続きます)

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「GAFA4社で
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その全容を体系化した意義ある1冊」
―― 早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄氏 推薦

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【ベンチャー起業家の環境】
 ×【大企業のスケール】
  -【大企業の落とし穴】
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「普通の社員」を「起業家集団」に変える仕組みです。
そこに【大企業のスケール】を与えることで、
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