アマゾンの社員は、グーグルほど「キラキラ」ではない

入山:まず、GAFA4社のなかで、オーガニックな新規事業の立ち上げにおいて、最も成功しているのがアマゾンです。すなわち、買収に頼るところが比較的少なく、社員が自ら種まきして育てた新規事業の成功例が多いということです。

:典型例は、クラウド事業のAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)ですね。創業者ジェフ・ベゾスの後を継いだアンディー・ジャシーが企画書を書いて提案した新規事業で、現在、アマゾンの営業利益の約6割を占める稼ぎ頭になっています。

入山:それに対して、フェイスブックやグーグルは、「インスタグラム」や「ワッツアップ」「ユーチューブ」といったSNS企業の大型買収を、急成長の有力な原動力としてきました。また、アップルの素晴らしい製品群からは、創業者スティーブ・ジョブズという1人の天才が生み出した輝きが、今も感じられます。

 加えて、アマゾンの社員というのは、わりと「普通の人」なのですよね。ここの表現は難しくて、語弊があるといけないのですが、あえて言及するならば。

:分かります。アマゾンの社員は決して「平凡な人材」ではなくて、何らかの分野のスペシャリストであったり、特定の最先端技術に精通していたり、何か秀でた特殊技能を持っていたりする「優秀な人材」です。けれど、自分一人でイノベーションを起こす力を持っているような起業家タイプではない。そういう意味において「普通の人材」なのですね。

入山:例えばグーグルなどは、採用の段階から、かなり特別な超ピカピカの、ある種キラキラした人材を求めているし、採用された社員の側にもそれだけの自負を感じます。

:グーグルやフェイスブックは、最初からピカピカの人材を採用して、自由を与える代わりに、「自力で結果を出してね」という責任も持たせる、というスタンスだと思います。それに比べるとアマゾンはルールがしっかりあって、みんなで力を合わせて結果を出すというスタイルです。

 アマゾンの平均的な社員と同じように、ある側面を切り取れば「優秀」でもある「普通の人」の集団というのは、日本企業には多くあると思います。そういう集団からイノベーションが量産されているという意味において、アマゾンは日本企業が学ぶ価値が高い会社だと思います。

入山:だからでしょうか。アマゾンには、日本の大企業から転職した人が働きやすいイメージがあります。実際、日本企業からアマゾンジャパンに転職した昔の教え子も楽しそうにしていますし、仕事でお付き合いのある社員の方たちを見ても、いきいきしている印象があります。

:それはおそらく、日本の伝統的な基幹産業が製造業だったからではないでしょうか。

それはどういうことでしょう?

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