「まぐれ当たりの大成功」を、どう評価すべきか?

 結果として失敗に終わった新規事業において、プロジェクトに参加したメンバーを評価する際の基準は、例えば、次のようなものです。

  • PR/FAQを適切に用いて、顧客視点でアイデアを深掘りできたか
  • プロジェクトメンバーとして優秀な人材を社内外から採用できたか
  • PR/FAQに基づいて商品やサービスのクオリティーを十分に高めることができたか

 たとえ「アウトプット」に恵まれなかったとしても、このような評価基準により、適切なプロセスを踏んで優れた「インプット」を積み上げていたとみなされれば、高い評価が得られます。

 つまり、リーダーとメンバーは最高の仕事をしたが、何かほかのコントロールできない要因があって成功しなかったと判断します。従って、別の機会にイノベーション創出にチャレンジすれば、高い水準のインプットを生み出す「再現性を備えている」ので、再度、チャンスを与えるに値する人材であると結論づけられます。

 逆にいえば、「インプット」に対する評価が低ければ、たまたま高い「アウトプット」が得られたとしても、評価は低くなることもあります。その成功は外的要因による幸運がもたらしたものである可能性が高く、「再現性を備えていない」と評価されます。

 皆さんの周りでも大きな成果を出したプロジェクトのなかに、どう見ても担当した人のやり方が優れていたというより、偶然にも恵まれ、たまたまホームランが出ただけと思うようなケースがあるでしょう。そういうケースを適切に評価する仕組みが、アマゾンにはありました。

 アマゾンは、プロジェクトそのものの成否と切り離して、イノベーションの源泉となる人材の適性を見極めようとしています。このような評価手法が、失敗を恐れずに挑戦するモチベーションを社員のなかに生み、高めています。また、新製品や新サービスに挑むプロジェクトに手を挙げるメンバーを増やすことにもつながっています。

 もちろん、最初から「失敗していい」と安易に考える人を許容するわけではありません。そのような姿勢では、インプットの質も量も上がるはずがないので当然、高い評価は得られません。「絶対に成功させるぞ」という気概と情熱を持ち、献身的な尽力をもってしてもなお、失敗することのほうが多いのがイノベーションへの挑戦であり、その結果として敗れたとしても、それだけをもって減点はしない、ということです。

アマゾンの事業成長のメカニズムを初めて体系化した1冊。

「GAFA4社で
日本企業と最も相性のいい
仕組みを持つのがアマゾン。
その全容を体系化した意義ある1冊」
―― 早稲田大学ビジネススクール教授・入山章栄氏 推薦

アマゾンには、画期的な新規事業を
組織的に連続して起こす
「イノベーション量産の仕組み」があります。

◆ アマゾンのイノベーション量産の方程式

【ベンチャー起業家の環境】
 ×【大企業のスケール】
  -【大企業の落とし穴】
   =【最高のイノベーション創出環境】

【ベンチャー起業家の環境】とは、
「普通の社員」を「起業家集団」に変える仕組みです。
そこに【大企業のスケール】を与えることで、
起業家よりも恵まれた環境に社員を置き、そこから、
【大企業の落とし穴】をマイナスすることで、
【最高のイノベーション創出環境】が完成します。

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24個の「仕組み・プラクティス」に分解して解説します。

この記事はシリーズ「新規事業はアマゾンに学べ」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。