著名投資家、ビル・グロスを驚かせた調査結果

 米国の著名なベンチャー投資家で、Idealabをはじめ、自身も多くの起業経験を持つビル・グロスは、2015年、TEDでの講演で、こんなデータを紹介しています(*)。彼が、成功したベンチャーと失敗に終わったベンチャーを比較する要因分析をしたところ、次のような結果が得られたそうです。

1位:タイミング(42%)
2位:チーム(32%)
3位:アイデア(28%)
4位:ビジネスモデル(24%)
5位:資金調達(14%)

 ベンチャーの成功と失敗を分ける最大の要因が「タイミング」であることに、グロスは非常に驚いたそうです。

 その具体例としてオンラインエンターテイメントの「Z.com」について述べています。1999~2000年頃に米国で注目を集めたベンチャー企業で、アイデアもビジネスモデルも素晴らしく、資金調達も順調で、グロス自身、「Z.com」の登場にとても興奮したと振り返っています。しかし、当時はまだブロードバンド普及率が低く、オンラインでビデオを見るのも難しかったため、市場が形成されず、2003年に事業を閉じることになったそうです。その数年後、ブロードバンド普及率が50%を超えるという最高のタイミングで登場したのが、ユーチューブでした。

 1998年にシリアルアントレプレナーへのインタビューを敢行していた私は、「やはりそうか」という思いを持って、このデータを興味深く受け止めました。「3~5年後における、新製品・新サービスとニーズの交点を見極める」とは、新しい製品・サービスを世に出すべき「タイミングを見極める」ことにほかなりません。

 シリアルアントレプレナーが備える「タイミングを見極める」能力を、再現可能な仕組みにしたのが、アマゾンの「PR/FAQ」です。その内容についても、この連載で先々、お伝えできる機会があればと思いますが、ご興味がある方は拙著をご参照ください。

*「TED Talk」より。「The single biggest reason why start-ups succeed」

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