「空を飛ぶドローンカー」の実現に必要な要素とは?

 例えば、技術的に「空を飛ぶドローンカー」が、3~5年後に製造可能になっていたとしても、顧客が利用可能な価格帯になっているのか。また、どの程度の価格帯になれば、どんな顧客が、どんな用途で使うのか。あるいは、法規制の緩和はどう進んでいるのか。

 「東京で空を飛んでいる」ことの当否を予測するために、想定しなければならないことは多く、ある1つの目算が少し狂うだけで、答えが大きく変わってくるというのが「3~5年後の未来予測」の難しさです(なお、ここで挙げた「3年」「5年」という時間軸は、ハードウエアの開発を前提としているので、ソフトウエアの世界ならば、スピード感はさらに上がります)。

 これから3~5年という時間軸において、技術などが進化する速度と、それが実現する製品・サービスに対する需要の高まり、そして需要に対するコストの許容度、さらに法規制といった外部要因も含めて複合的に判断することで、それらが交差して新製品・新サービスが立ち上がる絶好の地点を見出す。そのような能力が必要だということです。この目算がずれれば、ニーズはあるけれど技術は追いついていなかったり、技術は進んでもニーズが不足したりして、事業として成功することが難しいものになってしまいます。

 シリアルアントレプレナーと呼ばれる人たちは、この見極めを得意とする人たちが多いことがわかりました。

 しかし、そのような見極めの力をどう身につければよいのかという問いに対しては、残念ながら、彼ら彼女らから明確な回答が返ってくることはありませんでした。この問いに私が一つの解を見出したのは、2013年にアマゾンに入社し、「PR/FAQ」という独特の企画書を目にしたときのことです。

 1998年の段階でわかったことは、少なくとも、少数の個人の能力に頼ることなく、イノベーティブな製品やサービスを開発して事業を起こすには、開発のベースとなる技術進化と顧客ニーズが3~5年後に交差するポイントを見極めるメカニズムが必要だということです。それだけでも大きな収穫でした。

次ページ 著名投資家、ビル・グロスを驚かせた調査結果