ダメ元で、シリアルアントレプレナーに面談を依頼

 私がその存在を知ったのは、シリコンバレーで、スタートアップ企業がプレゼンする、いわゆるピッチイベントに参加したときのことでした。ベンチャーキャピタルやベンチャーに関連する業界の人たちが参加して、次の投資先の当たりをつけたり、技術や製品のトレンドを知ったりするために開催されていた、有料のイベントです。シリコンバレーでは定期的に開催されていました。

 ベンチャー企業のトップがステージに上がってプレゼンする前に、司会者がその会社の簡単な概要と経営者の経歴を紹介するのが恒例でした。その際に、「この人は過去にも起業して上場させたシリアルアントレプレナーだ」と紹介された人が数人いました。過去にも上場を成功させているということで、会場にいる人たちも「これは筋がいいのではないか」とがぜん盛り上がりましたし、業界内に知人が多いのか、拍手も大きく感じられました。起業して成功するのは「千三つ」といわれる世界で、連続して起業に成功するような人たちがいるということを、私はそのときまで知りませんでした。

 一体なぜ、そのようなことが、この人たちには可能だったのか。 当時の私には、まったく見当がつきませんでした。その秘密が知りたくて、ダメ元でそれらのシリアルアントレプレナーに、イベントで知ったメールアドレスを介して面談の依頼を送ってみました。すると驚いたことに皆、喜んで面談に応じてくれたのです。

シリアルアントレプレナーに特有の「2つの能力」

 ITバブルのただなかだったということもあり、インタビューした起業家たちの多くは経営トップであると同時に技術者で、自分自身で開発も担っていました。

 インタビューしてみると、彼ら彼女らが皆共通して自信があると主張する能力がありました。次の2つです。

(1)未来の「製品・サービス」と「ニーズ」の交点を見極める
(2)優秀な人材を惹き付ける

 シリアルアントレプレナーの持つ特殊能力の1つは、「技術などが進化して、新しい製品やサービスが実現する時期」と「顧客ニーズが顕在化して、市場が立ち現れる時期」の交点を見極める力です。

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