なぜ今、アマゾン(米アマゾン・ドット・コム)の仕組みを、日本企業が学ぶべきだと考えるのか。私が『Amazon Mechanism』を著した理由の一つとして、まさに今、日本企業にも大きなチャンスが到来していることがあります。

 前回、米国の投資ファンド、ARKインベストメント・マネジメントがまとめた「イノベーションのプラットフォームになる技術革新」の歴史を、ご紹介しました。

 日本企業は、20世紀初頭に立ち上がった「電話機」「自動車」「電気」というイノベーションの大波から派生した事業において大きな成功を収めました。そして20世紀後半、「コンピューター」と「インターネット」という新しいイノベーションの大波が立ち上がりました。

 2つの大波が押し寄せてきた1990年代初頭、私はソニーで技術者として働いていました。この変革の時期に、ソニーの経営トップは何を考えていたのか。『Amazon Mechanism』を書き進めるなかで、あらためて興味を持ちました。

<span class="fontBold">谷 敏行(たに・としゆき)</span><br>東京工業大学工学部卒業後、エンジニアとしてソニー(現ソニーグループ)に入社。エレキ全盛期のソニーの「自由闊達にして愉快なる理想工場」の空気に触れながら、デジタルオーディオテープレコーダーなどの開発に携わる。米ニューヨーク大学経営大学院にて経営学修士号(MBA)取得。1992年にソニー退社後、米国西海岸でIT・エレクトロニクス関連企業のコンサルティングを手掛ける(米アーサー・ディ・リトルに在籍)。その後、米シスコシステムズにて事業開発部長など歴任。日本GE(現GEジャパン)に転じた後、執行役員、営業統括本部長、専務執行役員、事業開発本部長など歴任。2013年、アマゾンジャパン入社。エンターテイメントメディア事業本部長、アマゾンアドバタイジング・カントリーマネージャーなど歴任し、2019年退社。現在は、TRAIL INC.でマネージングディレクターを務めるほか、<a href="https://dayoneinnovation.com/" target="_blank">DAY ONE INNOVATION</a>代表としてイノベーション創出伴走コンサルタントとしても活動。
谷 敏行(たに・としゆき)
東京工業大学工学部卒業後、エンジニアとしてソニー(現ソニーグループ)に入社。エレキ全盛期のソニーの「自由闊達にして愉快なる理想工場」の空気に触れながら、デジタルオーディオテープレコーダーなどの開発に携わる。米ニューヨーク大学経営大学院にて経営学修士号(MBA)取得。1992年にソニー退社後、米国西海岸でIT・エレクトロニクス関連企業のコンサルティングを手掛ける(米アーサー・ディ・リトルに在籍)。その後、米シスコシステムズにて事業開発部長など歴任。日本GE(現GEジャパン)に転じた後、執行役員、営業統括本部長、専務執行役員、事業開発本部長など歴任。2013年、アマゾンジャパン入社。エンターテイメントメディア事業本部長、アマゾンアドバタイジング・カントリーマネージャーなど歴任し、2019年退社。現在は、TRAIL INC.でマネージングディレクターを務めるほか、DAY ONE INNOVATION代表としてイノベーション創出伴走コンサルタントとしても活動。

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