
CFO(最高財務責任者)というと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
多くの人は長く経理財務畑を歩いて財務部長から取締役管理本部長になったような人を思い浮かべるかもしれません。しかし、世の中にはバックグラウンドやパーソナリティーの異なる様々なCFOがいます。表舞台に立つことが少なく、顔が見えづらい「CFO」について、私が今まで出会ったCFOの人となりや自身の経験を共有していきたいと思います。
私は現在、アトラエの取締役CFOを務めていますが、私自身CFOというキャリアを歩むことになるとは思ってもいませんでした。前職では、2005年に新卒で大和証券(当時の大和証券SMBC)に入社し、それから13年間、新規株式公開(IPO)のアドバイザリー業務を中心に仕事をしてきました。その間、メルカリやラクスルなど約20社のIPOや東証1部へのステップアップに携わりました。
アトラエも担当会社の1社で、2014年から4年間、東証マザーズ上場から東証1部への市場変更の実現までずっと、主幹事証券のアドバイザーとしてお付き合いをしてきました。
当時、私は大和証券を辞めるつもりは全くありませんでした。ただ、当社CEO(最高経営責任者)の新居佳英は初めて会ったときからずっと「一緒に仕事をしたいからうちに来てくれ」と言い続けてくれていました。
ありがたいことに、証券会社時代には度々CFOとして入社のお誘いをいただく機会がありましたが、ファイナンスという「スキル」ではなく「仲間」として迎え入れたいという新居の打診は新鮮でした。何を成し遂げるかも重要ですが、誰と成し遂げるかがもっと大切だと思っていた私にとって、この誘いはうれしく、忘れられないものでした。
しかし、4年間一緒に仕事をしながら私は新居の申し出を断り続けました。東証1部への市場変更プロジェクトが完了するまでは一切考えないようにして、新居にも「今はそういう話にはお応えできません」と言い続けました。アドバイザーでありながら担当会社に移籍するというのは私のポリシーに反していたからです。
2018年6月にアトラエは無事東証1部に市場変更を果たし、仕事としては一区切りがつきました。アドバイザーではなくなった私は改めて打診を受け、入社の意思を固めて9月にアトラエに参画することとなりました。
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