非財務情報の開示は横比較できることで価値を発揮する

無形資産が企業の成長ドライバーとして認識されている流れは確かに感じます。それゆえ財務情報は過去の企業活動の結果として捉えられることが多くなってきており、将来への期待を含む株価は、無形資産すなわち非財務情報の影響をより受けやすくなってきているということですね。

野間氏:その他には開示方法の変化も要因でしょうか。昔は決算発表といえば、紙に印刷したプレスリリースを東京証券取引所で担当の記者らが詰める「兜倶楽部」に投函(とうかん)する方法が主流で、決算情報が投資家まで届いて株価に反映されるまでタイムラグがありました。

 現在、財務情報はネットでも開示され、直ちに株価に織り込まれるようになり、財務情報に関する情報の非対称性が小さくなったため、非財務情報にスポットが当たるようになりました。

(写真:竹井 俊晴)
(写真:竹井 俊晴)

企業が非財務情報を開示していくに当たって乗り越えねばならない課題はありますか。

野間氏:開示内容や開示方法について統一のルールを設けるか、各社の自主的開示にゆだねるかという論点については、様々な見解があります。現在多くの企業は統合報告書などで、自社が必要だと考える非財務情報を各社それぞれの基準で開示しています。

 企業が非財務情報を開示するのは望ましいですが、投資家の観点からすると企業間の比較が担保できないことが問題になっています。一方で企業側からすると各社で項目や基準の重要性が異なり、画一的に扱われたくない。双方の主張はトレードオフの関係にあるため、議論が必要です。

非財務情報を活用した新たな対話を生み出していくには、まだ課題がありそうですね。その課題の解消に向けたお考えは、対談の中編でお答えいただきます。

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