マーケットはシクリカル、良くもなれば悪くもなる
私は「マーケットはシクリカル(景気循環)。良いときと悪いときが繰り返しやってくる。今は良くてもいつかは悪くなる。それに備えて準備しておかなければいけない」と考えています。このような考え方には前職の証券会社時代に株式市場環境のサイクルを実際に経験したことが生きています。
私は2005年に社会人になり、証券会社で成長銘柄を担当していました。当時株式市場の環境は良好で多くの企業が高値を付けていました。そこにリーマン・ショックが襲いました。08年のことです。例えるならば100あった価値が10にまで下落するような局面で、株価はこれほど変わるものかと思い知らされました。特に、先行投資フェーズで高い売上高成長率が株式市場から期待されていた銘柄の株価下落率は当時の私にとって想像を絶するものでした。
私がアトラエでCFOに就任したときには新型コロナウイルス禍のリスクや地政学リスクの上昇の影も身を潜め、マーケットも好調そのものでしたが、就任してすぐに金融機関と借入枠の増額の交渉をしました。結果的にではありますが、万全の体制で不測の事態に備えることができたことは、先述した経験があったからだと思っています。
同時に悪いときがあっても回復して良くなるということも分かりました。一時は年間十数社にまで落ち込んだIPO(新規株式公開)件数も、21年には100社を超える水準にまで回復しました。日経平均株価もそうです。歴史は繰り返します。もし今行き詰まっている経営者がいらっしゃるのであれば、以前の危機を乗り越えた先輩経営者に話を聞くことでヒントが得られるかもしれません。
現在、昨年と比較して株式市場が厳しい状況にあることは間違いありません。ですが、必ずまた活況な時代がやってくると私は信じていますし、そこに向けて準備をする時間だと思っています。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「鈴木秀和の「未来を創るCFO」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?