自分の人生の「ロケハン」に出よう

 ただ、「場所」を決めようにも、ほとんどの人はオプションをあまり持ち合わせていないのかもしれません。自分が生まれ育った場所、大学などの学校に通った場所、就職した会社のある場所、そして自宅のある場所くらいしかサンプルがないという人が、たくさんいるのではないでしょうか。でも、それだけでは、自分の人生をデザインしていくにはあまりに材料が少なすぎます。

 小説家は、小説を書くときにロケハンをします。映画やドラマの脚本を書くときもそうです。これから描こうとしている主人公は、どこの出身で、今どこに住んでいて、そこでどんな仕事に就いて、どんなライフスタイルを送っているのかを、実際に土地を訪れロケハンしながら決めていきます。

 実は、自分のこれからの人生を思い描いていく際も同じです。

 すぐにはピンとこないかもしれませんが、本当は、私たちは自分の人生という一人称の小説の書き方について、パーフェクトフリーダムを手にしています。さまざまな制約があると思うかもしれません。でも、実際には完全に自由なのです。本来はどこに住んでもいいし、どんな仕事に就いてもいいのです。

 ところが、そういう自由が自分にはないとほとんどの人は思い込んでしまっています。「駅から徒歩10分のマンションだから住む」「職場に乗り換えなしで行ける○○線沿線の特急が止まる駅だから住む」という設定では、わくわくする物語になる予感がしませんよね? 思い描くだけでわくわくするような物語、読みたくなるような(つまり生きたくなるような)物語とは、何だろう? どの場所で営まれる物語が、素敵(すてき)な物語になりそうだろう? そういう視点を持って「場所」を探してみるのはどうでしょうか。

 「この場所は魂が呼ばれる」「ここで生きていきたい」「どうしても戻りたくなる」というふうに敏感に感じ取る能力は、筋肉と同じで使わずにいるとどんどん痩せ細ってしまいます。心を動かす能力が摩耗しないように、時々ロケハンに出かけてみてください。

(写真:VSM Fotografia/Shutterstock.com)
(写真:VSM Fotografia/Shutterstock.com)

働く場所を選ぶことで
人生の主導権を取り戻そう

 時代に左右されない究極のハイパフォーマーになる方法は「いつものオフィス」から抜け出すことだった――。
 リモートワークが「あたりまえ」になったいま、“働く場所”を考えることは人生の主導権を自分に取り戻すことにつながる!
 山口周氏による序文・コラムをふんだんに盛り込んだ、人生の質が劇的に上がるワーケーション超入門。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「ポストコロナの時代にどこで働くか」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。