ボーナスでまとまったお金が入り、株や投資信託の購入を検討する人も多いだろう。投資をする際にぜひ活用を考えたいのがNISA(少額投資非課税制度)だ。売却益や配当にかかる税金がゼロになるお得な制度。現在、NISAには「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、「一般NISA」は2024年から「新NISA」に改正され、「ジュニアNISA」は2023年に廃止される予定となっている。
 「一般NISA」が衣替えする「新NISA」は1階と2階の投資枠に分かれており、かなり複雑だ。どのように活用すればいいのか。今「一般NISA」を利用している人はどう対応すればいいのか。投資関連のイベントに数多く登壇し、個人投資家が疑問を感じるポイントを熟知する竹川美奈子氏の著書『こんなときどうする? どうなる? Q&A 3つのNISA 徹底活用術』(日本経済新聞出版)から一部を抜粋、再編集して解説する。

2024年からスタートする新NISAの仕組み

 2023年に一般NISAの投資枠が終了するのに伴い、新NISAが創設され、2024年から2028年まで投資できるようになる。

 新NISAとはどのような制度なのだろうか。2024年以降に、新規に新NISA口座を作って投資をする場合を考えてみよう。新NISAの特徴は2階建てということだ(図表1)。

図表1 新NISAの仕組み
図表1 新NISAの仕組み
(出所)『こんなときどうする? どうなる? Q&A 3つのNISA 徹底活用術』49ページ
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 1階部分で購入できるのは、つみたてNISA対象商品のみ。投資枠は20万円だ。購入方法は一定金額ずつ購入していく「積み立て」に限定される。2階部分では、現行の一般NISAの対象商品である、上場株式(日本株式・外国株式)や株式投資信託、ETF、REITなどを購入できる。ただし、高レバレッジ投信や整理銘柄・監理銘柄に指定された上場株式など、安定的な資産形成に不向きな一部の商品は対象外となる(*1)。投資枠は102万円で、こちらは買いたいときにスポットで購入しても、積み立てで購入してもOKだ。

*1 レバレッジの効いた投資信託や、上場株式のうち整理銘柄・監理銘柄を2階部分の投資対象から外す予定。レバレッジの効いた投資信託の具体的な範囲については、今後、告示などで明確にされる

 1階部分(20万円)と2階部分(102万円)の投資枠の合計は122万円となり、一般NISAに比べて2万円、枠が広がる。投資枠を使う順番も決まっている。まず1階でつみたてNISA対象商品の積み立て、その上で2階の枠を使う。

 もっとも、必ずしも1階の投資枠を使い切る必要はない。1階部分の一部を利用すれば、2階の投資枠を利用する権利を得られる。ただし、1階で使い切らなかった枠(金額)を、その分2階の投資枠に上乗せすることはできない。1階の使い残しがあっても2階は102万円のままだ。1階部分の積み立て投資を開始すると同時に、2階部分の投資を行うことも可能だ。

 また、投資信託の積み立てを行う場合、1階と2階でつみたてNISAの対象となっている同じ投資信託を積み立てることもできるし、1階と2階でそれぞれ別の投資信託を積み立てることもできる。

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