ボーナスでまとまったお金が入り、株や投資信託の購入を検討する人も多いだろう。投資をする際にぜひ活用を考えたいのがNISA(少額投資非課税制度)だ。売却益や配当にかかる税金がゼロになるお得な制度。現在、NISAには「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、「一般NISA」は2024年から「新NISA」に改正され、「ジュニアNISA」は2023年に廃止される予定となっている。
 成人が利用できる「つみたてNISA」と「一般NISA」、どちらを利用するのがよいのだろうか。また、投資商品はどのように選べばよいのか。投資関連のイベントに数多く登壇し、個人投資家が疑問を感じるポイントを熟知する竹川美奈子氏の著書『こんなときどうする? どうなる? Q&A 3つのNISA 徹底活用術』(日本経済新聞出版)から一部を抜粋、再編集して解説する。

資産形成の土台を作るなら「つみたてNISA」の方が有利

 成人が利用できるNISAには、2014年から始まった一般NISAと、2018年から新たに始まったつみたてNISAの2種類がある。同じ年(1月から12月)にはどちらか1つしか利用することはできない。両者の大きな違いは、非課税となる期間、年間の非課税投資枠、そして、対象商品の3つだ(図表1)。

図表1 つみたてNISAと一般NISAの違い
図表1 つみたてNISAと一般NISAの違い
(出所)『こんなときどうする? どうなる? Q&A 3つのNISA 徹底活用術』6ページ
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 一般NISAの1年間に利用できる投資枠は120万円までだが、非課税期間は最長5年。2024年からは新NISAとなり、1年間の非課税枠は122万円までとなる。非課税期間は5年のままだ。一方、つみたてNISAは、非課税投資枠は40万円までだが、非課税期間は最長20年になる。

 そして、投資対象も異なる。つみたてNISAは一定の条件を満たした投資信託とETF(上場投資信託)のみ。一般NISAでは個別株やREIT(上場不動産投資信託)、海外ETFなどに投資することも可能だ。

 さて、どちらを選ぶかだが、資産形成の土台作りとして、非課税口座を活用して投資信託を積み立てていく方針なら、つみたてNISAをおすすめする。

 理由は、

  • 制度がシンプルである
  • 非課税期間が20年
  • 一般NISAのように、ロールオーバー(翌年の非課税枠に商品を移すこと)の手続きをする必要がない
  • 2042年まで新規で投資できることが決まっている(新NISAは2028年までしか決まっていない)
 などが挙げられる。

 もし年間40万円以上を積み立てできる余力があれば、つみたてNISAに加えて課税口座(特定口座)を利用して投資信託を積み立てていくか、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)を利用できる場合にはiDeCoとあわせて利用するという選択肢もある。

 非課税枠は一般NISA(年間120万円)のほうが多いのだが、2024年から新NISAに衣替えされて制度が複雑になるし、ご自身でロールオーバーの手続きを行う必要もある。そうしたことが苦でないなら、一般NISAの利用を検討してもよいのだが、積極的にはおすすめしない。

 ただし、つみたてNISAの対象商品は一定の条件を満たした投資信託で、主にインデックス投信(様々な指数に連動した投資信託)が中心だ。個別株やREIT、海外ETFなどに投資したい場合には一般NISA(2024年からは新NISA)を利用することになる。一般NISAの非課税枠で購入し、長期で保有したい場合には、制度が続く限りロールオーバーしていこう。5年の非課税期間終了時であれば、上限額120万円(新NISAは122万円)を超えていてもすべてロールオーバーすることが可能だ。

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