日本でもあらゆる産業で「カーボンニュートラル」を強く意識した動きが加速しています。日経BPではこうした新しい経済潮流をテーマに、日経ビジネス、日経クロステック、日経BP総合研究所の共催で、11月25日(木)から4週にわたってオンラインセミナー「ゼロカーボノミクスを勝ち抜く経営ビジョン ~日本企業はどう取り組むべきか~」を開催いたします(視聴無料、事前登録制・先着順、記事末尾に詳細)。

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再生可能エネルギーを大量に導入することでカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)を達成するには、天候に左右される風力・太陽光発電の出力の変動を吸収し、デジタル技術によってエネルギー需給を予測・最適化することが欠かせない。そのためには、街全体のネットワーク化も視野に入れた「スマートシティ」の実現が前提となる。この分野で先行する中国には、日米欧には覆し難い「大きな地の利」があった。日本総合研究所の井熊均フェローら4人がまとめた新刊『脱炭素で変わる世界経済 ゼロカーボノミクス』(11月3日発売)から、一部を抜粋して紹介する。

(写真:Shutterstock)
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 中国におけるスマートシティへの民間の参画事例で、日本から見て最も驚きが大きいのはアリババ集団の「都市大脳」だろう。

 アリババは、都市のビッグデータを分析、判断、処理するAI「都市大脳」を2016年に開発し、杭州市の交通渋滞の解決などに取り組んでいる。

 都市大脳は「公共交通機関の利用状況」や「地図アプリの利用状況」、個人情報などを省いて政府から提供される膨大な「監視カメラのデータ」を利用し、交通を監視・制御している。都市大脳による最適化によって、車の平均速度は上がり、交通事故や違法駐車も自動的に検出されるようになったという。

スマートシティは個人情報の塊

 都市大脳に利用している情報をみると、膨大な監視カメラのデータなど、「プライバシー」や「監視」といったことが問題になるものが含まれている。日本や欧米ではこういった情報に民間が関わるのはもちろん、収集すること自体が反発を呼ぶだろう。個人情報の扱いは、スマートシティを進める上で大きな問題なのだ。

 GAFAが強大な力を持ったのは、SNS、検索、オンラインショッピングを通じて得た情報で個人を追跡できるようになったことによる。しかし、彼らが手にしたのはインターネット上の限られた情報にすぎない。

 これに対して、スマートシティではエネルギー、インフラ、交通、施設などの利用状況、さらには行政データ、都市内の画像データなどが得られるから、やろうと思えば、個人の行動を子細に集めることさえできる。繰り返しになるが、日本や欧米では、こうした情報を統合的に管理することを、民間企業はもちろんのこと行政にすら許すべきではない、という声が主流になる。

続きを読む 2/3 欧米ほどこだわりがない個人情報に対する意識

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