「FIT市場のピークを波乗り」の離れ業

 中国メーカーがグローバル市場を圧倒した理由はいくつかある。

 既に述べたように、その起点となったのは「汎用化された製造技術に集中した」ことだ。シャープが開発した薄膜型シリコンの太陽光発電パネルなどには目もくれず、技術的に成熟した単結晶型シリコン、多結晶型シリコンに注力して大量生産でコストを下げた。

 太陽光発電が本格的な電源になれば「発電効率の小さな違いより発電コストが重視されるようになる」という市場の転換点を読んでいたのだ。

 もう1つは「FITによる需要の急拡大と急低下」という市場構造を見据えた体制を作ったことだ。

 ある国が太陽光発電のFITを導入すると、優遇価格による利益を狙って市場が急拡大するのが常だ。しかし、高い利益を出す有望な場所がなくなり始めたり、買い取り価格が引き下げられたりすると、導入のペースは後退し始める。つまり、一国の市場に頼りすぎると、一気に売り上げを落とすことになる危険性をはらんでいる。

 中国企業はその難題を克服するために、グローバルな人材確保とサプライチェーンを構築。世界で最も普及していたEUの規格を採用するなどして、国から国へと市場が移り変わる戦いに備えた。

 その結果、ある国のピーク時に利益を上げると、次の国のピークを狙う、という巧みな転進で成長を続け、国内市場に頼っていた欧州企業を圧倒したのだ。

 そのような柔軟な世界戦略を描ける企業を生み出す土壌となったのは、中国の苛烈な国内市場にほかならない。

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<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは:</span>「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

■開催概要
日経ビジネスLIVE
ゼロカーボノミクスを勝ち抜く経営ビジョン
~日本企業はどう取り組むべきか~

日時:2021年11月25日(木)~、全4回開催(予定)
会場:Zoomを使ったオンラインセミナー
主催:日経ビジネス、日経クロステック、日経BP総合研究所
Partner:アーサー・ディ・リトル・ジャパン、GE、シーメンス・エナジー、
住友林業、ダイヘン、J-POWER、
東芝三菱電機産業システム、東京ガスグループ
受講料:無料 ※事前登録制(先着順、開催日ごとの登録が必要)

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■11月25日のプログラム

13:00~13:30
COP26から見えた、脱炭素・日本の立ち位置と進路
東京大学未来ビジョン研究センター教授 高村 ゆかり 氏

13:40~14:50
ゼロカーボンを実現する新・企業マネジメント
~日立、キリン、セブン&アイの挑戦~
日立製作所 サステナビリティ推進本部 副本部長 津田 恵 氏
キリンホールディングス 常務執行役員 溝内 良輔 氏
セブン&アイ・ホールディングス 執行役員 経営推進本部サステナビリティ推進部シニアオフィサー 釣流 まゆみ 氏

15:00~15:50
日本が勝つための脱炭素ルールメイキング
~技術でリードし、市場で負けないために~
経済産業省 産業技術環境局長 奈須野 太 氏
川崎重工業 執行役員 水素戦略本部副本部長 西村 元彦 氏

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■12月2日のプログラム

14:00~14:50
ゼロカーボン時代、資金調達はどう変わるか
~市場で評価される企業の条件~
ブラックロック・ジャパン 社長CEO 有田 浩之 氏
野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内 登英 氏

15:00~15:50
脱炭素スタートアップの実像
~日米最新動向と協業への道~
スクラムベンチャーズ 創業者兼ジェネラルパートナー 宮田 拓弥 氏
エネチェンジ CEO/共同創業者 城口 洋平 氏

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