(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

 Z世代は、物事の過程をとても大事にしている世代とよくいわれます。私自身、「NiziU」をはじめとする近年のオーディション番組や、コロナ禍でのライブ配信の盛り上がりを見ながら、やはり「リアルな姿」に共感することが多くなってきました。

 今回は、なぜZ世代が過程を重視するのか? その理由とともに、過程至上主義と関係の深いライブ配信についてご紹介できればと思います。

 Z世代が商品や出来事の「過程」を見たくなるのは、その根本に、完全体で出てくる商品に潜在的な不安や疑いを持っているからなのではないか?と私は見ています。というのも、今のZ世代は、SNS(交流サイト)の初期時代、つまりSNSがまだ純粋に趣味を楽しむ場所として利用されていた時代を知っているからです。

 Twitterが日本でローンチされたのは2008年、Instagramが生まれたのは2014年です。今、Z世代と呼ばれている人たちは2010年代がちょうど中高生に当たり、スマートフォンを持ち始めたタイミングでもありました。

 当時は同じクラスの友達をフォローし合って何気ない放課後の日常を共有したり、写真が好きな人はInstagramでささやかな投稿をしたりしていました。スマホを持ち始めたのと同時に、彼ら彼女らのすぐそばにはSNS初期時代のゆるやかな趣味の場があったのです。

 まだ、インフルエンサーと呼ばれる影響力を持つユーザーも登場していませんでした。ビジネスやマーケティングなどとは無関係に、友達との日常を共有するツールとしてSNSを使っていた彼ら彼女らからすれば、現在のビジネス目的で運用されるアカウントやプロモーション目的の投稿は完全に後出しのものです。「趣味の場所に、なんだかよく分からないビジネスが入ってきた」という感覚があるのだと思います。

 少し上の世代でいうと、ブログでも同じ現象があったのではないのでしょうか。

 ブログ全盛期だった2000年代の初め、趣味の話題でブログを執筆しているユーザーが多かったと思います。しかし、現在のブログはアフィリエイト目的の記事も多くなり、noteを中心に情報そのものに価値をつけたり記事単位で有料にしたりするなど、マネタイズ目的のブログも多く見られるようになりました。

 途中まで読み進めていた面白い記事も、最後の最後でアフィリエイト目的の宣伝を見つけた途端、残念に思ってしまうのと似たような感覚を、Z世代はSNSで抱いているのだと思います。

 「Z世代はプロモーション目的の投稿に敏感だ」とよくいわれるのは、彼ら彼女らが現在のようにビジネス目的でのSNS運用が活発になる前の時代を知っているからです。SNS上の写真や情報が簡単に“盛られて”しまうことを知っているからこそ、SNSやネットに流れてくる周りの情報を簡単には信じこまない。効果を大げさにうたうものや、見た目がきれいにパッケージされているものほど、注意深く疑うのです。Z世代は、SNSに本質的なものやリアルなものを求める傾向があります。

続きを読む 2/3 コロナ禍以降、あふれ出たZ世代の「過程至上主義」

この記事はシリーズ「大槻祐依の「Zの肖像」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。