そんなベッド・バス&ビヨンドを「チェーンストアの鑑」と言えるほどの優良企業に育てたのは、スティーブ・テマレス(Steven Temares)氏です。たたき上げから頭角を現して2003年にCEO(最高経営責任者)に就任。同年(2003年3月期)に37億ドルだった売上高は、15年後(2018年3月期)には123億ドルと約3倍に急拡大しています。

 2003年にクリスマス・ツリー・ショップ(Christmas Tree Shop)、2007年にはバイ・バイ・ベイビー(Buy Buy Baby)、2012年にはコスト・プラス・ワールド・マーケット(Cost Plus World Market)などの企業買収を繰り返し、CEO就任時に490店だった店舗数は2018年には1500店以上と、3倍に増えました。

 そんなテマレス氏を一言で表現するなら、「チェーンストア理論の推進者」でしょう。

 チェーンストア理論は、「本部に権限を集約し、標準化された均一な質のサービスを多店舗で展開するための方法論」です。多店舗展開による大量販売に裏付けされたバイイングパワーで、本社(本部)はスケールメリットを生かしたコストダウン効果を得られます。

 業績のピークは、リーマン・ショック後の2010年度と2011年度で、売上高総利益率が41.4%という驚くべきものでした。

 このように同社を急成長させたチェーンストア理論ですが、この方法論には大前提があります。それは、「お客は売り場で買い物をする」ということです。インターネットの出現までは、それが常識でした。

 しかし、米アマゾン・ドット・コムなどのネット企業の台頭で、この前提は崩れてしまいます。リアルからネットへ、消費構造の大変革が起きたのです。売り場という“地表”からは見ることができない変化であり、「消費の地殻変動」とでも言うべきものです。

 こうして台頭したネット企業が仕掛ける安値攻勢に引きずられて、ベッド・バス&ビヨンドも商品価格を下げざるを得ず、粗利益率が同社史上最低を更新するようになったのです。

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