ママはダイエット目的で麦ご飯、パパは健康を気にして発芽玄米ご飯、子供たちは秋田産「あきたこまち」などと、パックのお米を食べ分けしている家庭もあることでしょう。単なる米離れということではなく、各人の嗜好に合わせて、ご飯もパーソナライズできる時代になっています。

 音楽のサブスクリプションサービスであるスポティファイは、機械学習を活用してプレイリストの選曲機能を強化。ユーザーそれぞれにパーソナライズした音楽体験を提供しています。

 他の音楽サービスもパーソナライゼーションを進めている中、音楽CDを買ってもらおうとするのは、今どきのライフスタイルに合いません。残念ながら、私たちの未来予想図に、音楽CDは描かれていないのです。

 1989年にデビューしたドリカムはダブルミリオン(200万枚)を達成したアルバムが7作品あり、これは日本人アーティストの中では最多だそうです。もはや破られないかもしれない、すさまじい記録を持っているわけですが、そうした強烈な成功体験が変化する気持ちを妨げているのかもしれません。

 さて、筆者は流通先進国である米国で、数々の成功・失敗事例を参考に、流通企業などにコンサルティングを提供しています。参考にするケースの中には、経営トップの成功体験が変化を遅らせ、業態が顧客のライフスタイルに合わなくなり、衰退していった事例も多くあります。今回紹介する米ベッド・バス&ビヨンド(Bed Bath & Beyond)も、そうした1社です。

チェーンストア理論の前提が崩れた

 同社はリネン(寝具)からキッチン、浴室回りなどの洗練されたホームファッションをEDLP(エブリ・デー・ロー・プライス)で提供。(今では死語となっている)「カテゴリーキラー」として知られる流通チェーンでした。かつては40%以上の粗利益率を誇り、米フォーチュンの「急成長企業500社ランキング」に入ったこともある、超がつく優良小売業でした。

ベッド・バス&ビヨンドの商品陳列棚
ベッド・バス&ビヨンドの商品陳列棚

 日本から視察に来る人のほとんどが同社の店舗を訪れるなど、いろいろな意味でベンチマークの対象でした。天井に届くほど豊富な品ぞろえ、カラフルな陳列棚、そして商品のコーディネート販売など、日本企業が参考にすべき点が多くあったのです。

 特に30~40代の女性からの人気は絶大。3万品目という圧倒的な品ぞろえの店舗は、まさに彼女たちのパラダイス(天国)でした。同じような属性のファンを持つドリカムの吉田美和さんも、一度お店に行けば、「うれしい! たのしい! 大好き!」となること間違いなし、でしょう。