家庭用品チェーンの米ベッド・バス&ビヨンドは洗練されたホームファッションをEDLP(エブリ・デー・ロー・プライス)で提供。米フォーチュンの「急成長企業500社ランキング」に入ったこともある、超がつく優良小売業だった
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 日本を代表する人気バンドの1つであるドリームズ・カム・トゥルー(DREAMS COME TRUE)の中村正人さんが2021年10月5日に自身のブログで、新曲のCD購入をファンに呼びかけたことが話題になっています。

 「次のせ~の!で - ON THE GREEN HILL -」というCDシングルの売り上げが振るわず、「なんせ(ドリカムとしてのCD売り上げの)ワースト記録更新なもので」ということで、異例のお願いをしたようです。

 ネットでは、「まだCDの売り上げにこだわってるんだ」とか「アーティストからこういう呼びかけをしないといけない時代なんだね。そう考えると悲しくなってきた」などの意見も見られました。

ご飯もパーソナライズ可能に

 この呼びかけをきっかけに、このCDの売り上げは増えたようですが、今後は厳しい状況になるかもしれませんね。今やCDプレーヤーを所有している人自体、珍しいからです。

 彼らのファンの中心は30~40代の女性。家庭があり、母であり、子供が複数人いる、という人たちも少なくありません。音楽を聞く時間がそもそも少ない人にとって、CDを購入して封を開けてプレーヤーに銀盤を載せる、という作業は結構な手間です。

 ドリカムのファンたちも、YouTubeやスポティファイなどの音楽ストリーミングを利用していることでしょう。だから大手企業とタイアップした新曲をリリースしても、テレビで目にする(耳にする)機会は減っています。こうしたライフスタイルの変化が、ドリカムからファンたちを遠ざけているのです。

 ライフスタイルの変化で売れなくなったものと言えば、お米(白米)もそうです。農林水産省の調査などを見ると、米を炊くのに比べて手間や時間がかからず、手軽に食べられるパン食へと、日本人の食習慣は大きく変化しているようです。手間のかかるCDから音楽ストリーミングへとシフトした音楽の視聴習慣の変化と米離れは、共通するものがあります。

 新曲をYouTubeでサッと聴くように、ご飯を食べたいならコンビニで購入したり、宅配サービスを利用したりできますから。だから最近の若い人は炊飯器を買わなくなっています。

 一方で、パックされたご飯の生産量は伸びています。ここ10年でおよそ2倍になり、コロナ禍の影響もあってか、2020年に過去最高を記録したというデータもあります。

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