低・中所得者層だけでなく、高所得者層もウォルマートに“トレードダウン”して買い物しなければならないほど、今回のインフレは、全ての世帯の家計に影響を与えているというわけです。そんな家計が苦しい時期に、大手食品スーパー同士の大型合併を“祝福”する人は、一部の関係者以外にはほとんどいないでしょう。

そもそも、なぜクローガーがアルバートソンズを買収・合併するのかと言えば、それはネットスーパーの成長が著しいからです。ネット通販の最大手である米アマゾン・ドット・コムの存在が、買収の“背中を押している”のです。
コロナ禍でカーブサイド・ピックアップが拡大
米調査会社コアサイト・リサーチが、約2100人を対象に6月に実施した「2022年米国ネットスーパー調査(US Online Grocery Survey 2022)」によると、「過去1年間にネットスーパーを利用した人」は54.3%と半数を超えています。「今後1年間でネットスーパーを利用する予定の人」も(前年の49.5%からは若干減少していますが)46.9%と高い水準にあります。「買い物の全てがネットスーパー」「ほぼ全てがネットスーパー」というヘビーユーザーも年々増える傾向にあります。
20年の調査では、全て(4.3%)/ほぼ全て(9.7%)の合計は14.0%でしたが、21年には全て(10%)/ほぼ全て(14.7%)の合計は24.7%に急増。22年には全て(11.8%)/ほぼ全て(16.5%)の合計が28.3%と、3割弱に達しました。
逆に、「ネットスーパーを全く利用しない/ほぼ利用しない」という人は、20年には合計63.1%でしたが、21年には55.3%に減少。22年には「全くなし(16.7%)/ほぼなし(32.2%)」の合計は48.9%と半数を切りました。
ネットスーパーの成長率は新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年が94.4%の増加という未曽有の伸びとなり、その後、21年は17.9%、22年は32.4%とやや低下しています。
ただしカーブサイド・ピックアップ(ネットで注文、店舗で受け取り)は増加が続き、21年の43%から22年には48.2%に増えています。一方で宅配サービスは減少しており、21年の55.5%が22年には49%になっています。ネットスーパー利用をした店舗数も、19年は1.8店でしたが、20年は2.3店、21年は2.5店、22年は2.4店となっています。
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