
米スーパーマーケット第2位のクローガーは2022年10月14日、業界第4位の米アルバートソンズを買収すると発表しました。買収が完了し、両社が合併すれば店舗数が約5000店、年間売上高が約2000億ドル(約30兆円)、従業員数が70万人超というメガ・スーパーマーケット・チェーンが誕生します。
両社の合計時価総額は約470億ドルで、最近の小売りセクターでは屈指の大型案件となります。発表によるとクローガーはアルバートソンズを1株当たり34.10ドルで買収する計画とのこと。47億ドルの負債を含めた買収総額は246億ドルになります。
ウォルマートとの競争にとってプラス
クローガーは米国内35州に傘下のスーパー「ラルフス」などを含む2750店を展開。片やアルバートソンズは34州に「セーフウェイ」など2200店を展開しています。買収が成立すれば、ディストリビューションセンター(物流センター)は合計66カ所、傘下の薬局は同3972カ所、ガソリンスタンドは同2015カ所で、顧客基盤が8500万世帯という規模になります。

米調査会社ニューメレーター(Numerater)によると、クローガーの食品マーケットシェアは9.9%で、第1位の米ウォルマート(20.9%)に次ぐ第2位。アルバートソンズは、第3位の米コストコ・ホールセール(7%)に次ぐ第4位で5.7%です。
クローガーとアルバートソンズが合併すると、そのシェアは単純計算で15.6%。現在ダントツのウォルマートに肉薄することになります。
シェアが拡大すれば、メーカーとの仕入れ交渉で立場が強まり、それによって確保できると見込む約5億ドルのコスト削減分を、販売価格の引き下げに充てる戦略を示しています。またアルバートソンズの店舗に13億ドルを投資することも計画。これが「ウォルマートとの競争にプラスに働くだろう」という指摘が、業界内から出ています。
一方で両社の店舗は、カリフォルニア州南部やコロラド州、ワシントン州シアトルなどで商圏が重複しているケースが多数あり、最大375店を競合などに売却する計画も示しています。
業界2位という大手企業による4位企業の買収という大型案件だけに、「食品市場の寡占化につながる」として、消費者団体や一部の政治家から厳しい目を向けられています。両社の統合が業界内の競争を弱めるだけでなく、商品の値上がりにつながる恐れがあるとみられているからです。
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