ここからは、ウォルマートのライバルである3社について、2021年の業績を見てみましょう。
秋、冬にネットスーパーが伸びる?
全米に約1900店を展開する米ターゲットの2021年第2四半期(2021年5~7月期)は既存店売上高が8.9%増と好調でしたが、Eコマースは10%と成長が鈍化しました。

スーパーマーケット最大手チェーンであるクローガーの2021年第2四半期(2021年6~8月期)は既存店売上高が0.6%の減少。Eコマースも前年から13%の減少となりましたが、ネットスーパーにはまだ伸びしろがあるようです。
全米第2位のスーパーマーケットチェーンであるアルバートソンズも2021年第1四半期(4~6月期)においてネットスーパー事業は前年同期比で横ばいでした。ネットスーパー事業を売り上げ全体の20%を占める事業に成長させるという同社目標の実現にはもう一段の成長が必要なようです。
流通大手が取り組んでいるネットスーパー事業は、コロナが一段落しつつある直近でも、再び盛り上がりを見せています。調査会社米ブリック・ミーツ・クリック(Brick Meets Click)が2021年9月に発表した推計によると、2021年8月におけるネットスーパーを含む食品ECの売上高は86億ドル(約9460億円)となり、67億ドル(約7370億円)だった7月に比べて、28.4%も増加しました。82億ドル(約9020億円)だった前年同月と比べると約5%の増加です。
ブリック・ミーツ・クリックが2021年8月29日から30日にかけて成人1806人を対象に実施した調査では、カーブサイド・ピックアップやボピス(BOPIS、ネットで注文し店舗で受け取るサービス)、宅配サービスのネットスーパー(Delivery/Pickup)の売上高は8月が66億ドル(約7260億円)でした。7月の53億ドル(約5830億円)から24.5%の増加となり、前年同月比では15.8%の増加となりました。
長期的に見て生鮮食品を注文できるネットスーパーの利用は拡大しており、流通各社のネットスーパー売上高が8月に大きく伸びた要因は、新規ユーザーが増えたためと思われます。
新型コロナウイルスの感染拡大による米国の死者は累計で約72万人、感染者も累計約4500万人で、いずれも世界最多です。
考えたくはありませんが、この秋から冬にかけて新型コロナウイルスの感染者数が再び増加すれば、ネットスーパー需要がさらに拡大する可能性はあります。コロナ禍の下で米国の新しい生活様式となったネットスーパーの活用は、アフターコロナでも続いていく見通しです。
(写真:後藤文俊)
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