ギター以外にも新型コロナウイルス感染拡大の後、モノの売れ方に大きな偏りが生じていることがよく知られています。2020年3月に米国で国家非常事態が宣言された直後、トイレットペーパーやペーパータオル、ハンドサニタイザーなどの消毒剤が爆売れして、極端な品薄状態となりました。

 外出禁止を発令する州が増えるに伴い、品薄状態は食品カテゴリーにも及びました。パスタやコーンフレークなどシリアルの日持ちする食品が売れ、ビタミンCが豊富なオレンジジュースやニンニクも急激に品薄になったのです。

ウォルマートが米国人のライフラインに

 ストレス解消のためにアイスクリームやパンケーキ、スナック類に逃げる消費も目立ちました。

 同時に自宅でパンを焼く人が増えて、キッチン家電のホームベーカリーが売れ筋になり、イースト菌が店頭から消えました。リモートワークの急増でパソコンやノートブックパソコンも売れました。リモートワークでは上半身だけを映すことが多いので、アパレルではシャツが売れたのです。

 自宅にいる時間が長くなったことでフィットネス器具も売れて、自転車ブームが起きたのも印象的でした。自転車は1970年代のオイルショック以来となる爆売れでした。

 感染を恐れてか、ジムやスポーツクラブ、フィットネスクラブに行くことに抵抗感がある人が多かったため、子供から大人まで家族全員で自転車をこいで、軽く体を動かす人が急増したのです。

 こうして売れる商品は変わりましたが、消費者の買い物行動も大きく変化しました。特に宅配サービスやカーブサイド・ピックアップ(ネットで注文した商品を店舗の駐車場などで受け取るサービス)など、ネットスーパーを利用する人が急増。ニューノーマルと呼ばれる新しい生活様式がすっかり定着しています。

 では2020年からのコロナ禍における米国流通の動きを振り返ってみましょう。

米ウォルマートは2021年も業績好調。21年第2四半期(5~7月期)決算で、既存店売上高は5.2%の増加となった(写真:Shutterstock)
米ウォルマートは2021年も業績好調。21年第2四半期(5~7月期)決算で、既存店売上高は5.2%の増加となった(写真:Shutterstock)

 まずはチェーンストア最大手の米ウォルマートです。同社の2020年第1四半期(2020年2~4月期)決算は、外出禁止令が出されたことにより、同社が米国のライフライン(生命線)になったことを印象付ける内容でした。サービスの会員費などを含むウォルマートの総売上高は前年同期比8.6%増となる1346億2000万ドル。純利益は前年同期から3.9%増となる39億9000万ドルでした。

 売上高の約6割を占める米国内のスーパーセンターやディスカウントストアなどからなるウォルマートUSの売上高は887億ドルと、前年同期比8.4%の増加。ウォルマートUSの既存店売上高は前年同期比で前代未聞の2桁増(10%の増加)となったのです(ガソリン販売は除外)。

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