米ロサンゼルス市内にオープンした米ホールフーズ・マーケットの最新店舗。Z世代やミレニアル世代などをターゲットにした高額賃貸アパートメント「VOXアパートメント(VOX Apartments)」の1階に入居している(写真:後藤文俊)
米ロサンゼルス市内にオープンした米ホールフーズ・マーケットの最新店舗。Z世代やミレニアル世代などをターゲットにした高額賃貸アパートメント「VOXアパートメント(VOX Apartments)」の1階に入居している(写真:後藤文俊)

 無農薬&無添加のオーガニック食品を扱うスーパーマーケット最大手である米ホールフーズ・マーケットは、新時代を迎えようとしています。ホールフーズの前身である「セーファー・ウェイ」を創業し、それから44年間も(共同)創業者として会社を率いたジョン・マッキー氏が9月1日に引退。10月から“新しいホールフーズ”が本格的にスタートするからです。

 オーガニック食品を世に広め、1990年代には数々の買収を通じて会社を急成長させ、5年前にはホールフーズを米アマゾン・ドット・コムに売却したトップが第一線を退くことで、会社がどのような方向に進むのか、注目が集まっています。

ホールフーズの今後、アマゾン次第?

 マッキー氏の引退に伴い、COO(最高執行責任者)だったジェイソン・ブッケル氏(Jason Buechel、英語の発音に近い表記はビークル)がCEO(最高経営責任者)に就任。新しいホールフーズの時代に向けた準備が加速しています。

 現在44歳のブッケル氏が生まれたのは78年。くしくもマッキー氏がセーファー・ウェイを創業したのと同じ年です。ブッケル氏は、米ウィスコンシン大学ミルウォーキー校を99年に卒業。コンサルティング会社の米アクセンチュアで約12年間キャリアを積み、2013年ホールフーズに入社。CTO(最高技術責任者)やEVP(上級副社長)を経て、19年からCOOを務めてきました。

 10月から本格的にブッケル時代が始まるわけですが、率直に言ってホールフーズの今後については、アマゾンの影響が今より大きくなりそうです。

 アマゾンがホールフーズを137億ドルで買収すると発表したのは17年6月ですが、その4年前(13年)にホールフーズは、「今後10年間店舗数の目標」を1000店舗から1200店舗に上方修正し、これまで出店しなかった低所得者居住地域にも出店し始めていました。しかし、時を同じくして既存店ベース売上高前年同期比の伸び率は低下していきます。

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