
「人員不足のために、セルフレジを閉鎖します」というスーパーの張り紙が、日本で話題になっていますね。セルフ・チェックアウトレジは本来、人手不足を解消する方法の1つだったはず。どういうことなのでしょうか。
各種報道によると、セルフレジだと、高齢のお客にレジの使い方を説明する必要があるため、かえって人員が要る(人手不足になる)ということのようです。確かに日本は世界トップクラスの老人大国ですからね。
人手不足だからこそ増えるセルフレジ
総務省統計局の統計データによると、2021年9月15日時点で65歳以上の高齢者人口は3640万人で過去最多。総人口に占める割合も29.1%で過去最高となっています(資料、「統計から見た我が国の高齢者」)。
内訳は65~74歳が14.1%、75歳以上が15.0%です。これだけ多いのですから、使い慣れないセルフレジの前でフリーズしてしまう高齢者がいてもおかしくありません。
一方、日本ほどではないですが、米国も高齢者の割合はなかなか高いです。同じ資料の「主要国における高齢者人口の割合の比較(2021年)」を見ると、米国の総人口に対する高齢者の割合は17.0%。内訳は65~74歳が9.9%、75歳以上が7.1%となっています。米国の人口は約3億3000万人ですから、17%といえば約5610万人。日本の人口約1億2600万人の29.1%は約3666万人ですから、人数で見れば、米国が日本を圧倒。米国も老人大国なのです。
では米国のスーパーでは、セルフレジはどのような状況か、ご存じでしょうか。
冒頭のスーパーとは逆に、人手不足だからこそ、セルフレジが増えています。スーパー各社が店舗での販売よりネットスーパーに注力していることが背景にあります。ネットスーパーでは商品をピッキングするスタッフが必要になるため、(売り場のレジ担当を減らせる)セルフレジを増やしているのです。
先日、ロサンゼルス近郊にあるウォルマート・スーパーセンターへ平日の昼間に行ったのですが、売り場は閑散としていました。しかしカーブサイド・ピックアップ(ネットスーパーで注文した商品を受け取るための駐車場)には、車が続々とやってきて大盛況。現場にいたスタッフ2人は、次から次へと商品の品出しをしていました。

一方、店内を見ると、有人レジは4台でしたが、セルフレジは30台もあり、以前より増えていました。そのうち、商品を買い物袋に詰めるスペースを広く取った新型セルフレジが20台、袋詰めスペースが小さい旧型レジが10台ありました。
Powered by リゾーム?