
米アマゾン・ドット・コムは2022年6月13日、ドローンによる空輸宅配テストを、22年後半をめどに米カリフォルニア州ロックフォード地区で実施すると発表しました。
13年にアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏がドローン宅配「アマゾン・プライム・エア(Amazon Prime Air)」構想を公表してから早9年。やっと実証実験が開始されるわけです。
実用化を阻む誤算があった
この間、(米グーグルの親会社であるアルファベットの関連企業である)ドローン開発の米ウイング(Wing)や、チェーンストア最大手の米ウォルマート(Walmart)がドローン宅配サービスを開始。アマゾンは大きく水をあけられていました。10年越しの実験開始により、アマゾンがこれら競合にキャッチアップできるかに注目が集まっています。
さて、アマゾンがドローン宅配を始めるロックフォード地区は、サンフランシスコ市の中心部から北東に100マイル(約160キロメートル)でクルマだと2時間弱。カリフォルニアの州都サクラメント市からは南東に40マイル(64キロメートル)ほどの位置にある“田舎町”です。航空写真を見るとロックフォードのほとんどは農地。人口は3600人程度にすぎません。
アマゾンは米連邦航空局(FAA)やロックフォードの地元当局に交渉し、同地域でのドローン宅配の許可を得ました。使用するのは同社最新の自律型ドローン「MK27-2」。最大速度は時速50マイル(時速80キロメートル)で、地上から最大400フィート(約120メートル)の高度を飛行。最大積載量は5ポンド(約2.2キログラム)とのことです。そして利用者宅のバックヤードなどの目的地に到着すると、6フィート(約1.8メートル)まで降下。荷物のパッケージをリリースして(落として)飛び去るというユニークな仕組みです。
他のドローンは、機体から伸びるケーブルを使って荷物を地面に下ろしたり、パラシュートを付けて投下したりするものが多いのですが、MK27-2は人の背の高さまで高度を下げてから荷物をそのまま落とすのが、大きな特徴。パラシュートを使う方式などと違い、「人やペットなどの障害物を確実に回避できる」のが売りだそうですが、1.8メートルの高さから地面に落とすのですから、その衝撃に耐えられるよう、特別な梱包が必要になります。
それにしても、世間をあっと言わせたベゾス氏によるドローン宅配発表からテスト飛行にこぎ着けるまで、なぜ、こんなに時間がかかったのでしょうか。米国で報じられているところでは、「FAAから許可がなかなか下りなかったこと」、そして「サービス実用化に向けて、色々な“誤算”があったこと」が要因のようです。
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