ドローン宅配の成功のためには、簡単で迅速といったメリットだけでなく、配達対象地域の住民の“理解”が欠かせません。そこでウイングは、19年10月18日の初テストフライトから、住民の理解を得る努力を重ねて来ました。
バージニア州クリスチャンズバーグ地区(人口約2万2000人)での初テストでは、ウォルグリーンの店舗からせき止め風邪薬のパックを届けたのですが、その後、地元のベーカリーショップやコーヒーショップなどに対象を拡大。新型コロナウイルス禍で外出禁止令が出されていた時期だったため、利用者にとってはドローン宅配が“ライフライン”になり、とても喜ばれたようです。
ドローンの利点を理解してもらう
参加企業にとっても、利用者と店舗や配達スタッフとの接触がゼロなので、感染リスクもほぼゼロになるメリットがありました。なお当時は自治体が手数料を負担していたので、宅配手数料もゼロでした。
その後、子どもたちのために図書館から絵本を宅配するサービスなども展開し、21年4月には地元ガールスカウトがクッキーをドローンで販売したこともありました。

この初テストについて、バージニア工科大学が20年秋に同地区の住民に実施した調査によると、ドローン宅配に「好意的」な人が87%。「ドローン宅配を使ってみたい」人が89%いるなど、住民の心をつかむことに成功(「利用経験あり」の人も含む数字)。それを踏まえて商用宅配を始めたわけですが、今後の課題の1つは認知向上でしょう。
半年ほど前からウイングは、配達地域の住民にドローンの良さを理解してもらうための「草の根運動」を展開してきました。地方議会議員や公務員、航空関係者にアプローチしたり、人口が多い場所の上空を「聖域」として飛ばないことを明確にしたりしつつ、住民にドローンに慣れ親しんでもらう努力を続けました。
具体的には、地域で開催される集会やパレードにウイングのエンジニアらが参加。ドローンの展示ブースを設け、見学に来た住民や子どもにキャンディーを配ったり、ドローンを自由に触ってもらったりしながら、ドローンのデモンストレーションやドローンとの記念撮影などを実施。地元コミュニティーに溶け込みつつ、ドローン宅配のメリットを理解してもらう努力を続けたのです。
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