さらにロサンゼルス郊外で3月16日、JWOを導入した2店目のホールフーズ・マーケットがオープン。1店目のホールフーズは2月24日にワシントンDCグローバー・パーク地区にオープンしています。

ロサンゼルス郊外にオープンしたホールフーズ・マーケット。JWOを導入したホールフーズとしては2店目
ロサンゼルス郊外にオープンしたホールフーズ・マーケット。JWOを導入したホールフーズとしては2店目

 一方、9100平方フィート(約250坪)と小型のシャーマン・オークス店には、レジなし決済サービスの他、現金でも支払いができる有人フルサービスレジ1台とセルフレジ3台が設置されています。

「星数4.5以上の高評価デビュー小説」コーナーも

 こうしたアマゾンのリアル店舗では、導入しているITに目が奪われがちですが、その先陣を切ったアマゾン・ブックスが、実は書店としても、多くの革新性を備えていたことは、あまり知られていません。店舗面積が100~200坪と小さいだけでなく、多くの点で他の書店と異なっていたのです。例えば当初は全ての書籍が、客から表紙が見えるよう、「面陳(面陳列)」「面展(面展示)」されていました。

 並んでいる本に、カスタマーレビューを記載したカードが添えられていた一方、プライスカード(価格表示)はありませんでした。ダイナミック・プライシングであるネット通販と店舗での価格とを、同一にしていたからです。価格を知るには、店内のスキャナーかアマゾンアプリのカメラ機能で、本の裏表紙にあるバーコードをスキャンする必要がありました。最近になって、平積みや面陳されている本には電子タグが付くようになりましたが、棚差しの本には電子タグがなく、今でも調べる必要があります。

 決済が、クレジットカードかデビットカードによるキャッシュレス決済のみで、現金決済ができないことも特徴的でした。これに最近、アプリから支払える決済機能が追加されました。レジ近くのPOP(看板)に記載されている「アプリからお支払い」というQRコードを読み込むと、利用者のアマゾンアカウントに請求される仕組みです。また昨年から、手のひら(生体認証)決済「アマゾン・ワン(Amazon One)」にも対応しました。

アマゾン・ブックスの店内にある決済システム。レジ近くにある青いPOP(看板)に記載されている「アプリからお支払い」というQRコードを読み込むと、利用者のアマゾンアカウントに請求される
アマゾン・ブックスの店内にある決済システム。レジ近くにある青いPOP(看板)に記載されている「アプリからお支払い」というQRコードを読み込むと、利用者のアマゾンアカウントに請求される

 日本の書店ではあまり見かけない書籍のキュレーションをしていたことも大きな特徴です。通常は著者ごとや、フィクション/ノンフィクション、サイエンスフィクション、歴史、伝記、ビジネスといったカテゴリーごとに本を並べます。

 しかしアマゾン・ブックスは、「米国北西部のノンフィクション・ベストセラー作品(Nonfiction Top Sellers in the pacific northwest)」だとか、「星数4.5以上の高評価デビュー小説(Highly Rated Debut Novels 4.5 Stars and Above)」といった形でキュレーションして、本を並べていたのです。中には、「2021年アマゾンのベストセラー本の中から我々がイチオシする作品(Our Picks from Amazon.com's Best of the Year 2021)」といったユニークなものもありました。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1537文字 / 全文4129文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「後藤文俊のシン・店舗 in USA」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。