
ネット販売最大手の米アマゾン・ドット・コムは3月初め、「アマゾン・ブックス(Amazon Books)」と「アマゾン4スター(Amazon 4-star)」、そして「アマゾン・ポップアップ(Amazon Pop-up)」というブランドで展開していたリアル店舗の全店をスクラップ(閉店)すると発表しました。
ネット販売に加えてリアル店舗も展開、という従来方針を見直して、英国ロンドンで昨年末にオープンしたばかりの2店舗を含め、合計68のリアル店舗を閉鎖するというのです。何があったのでしょうか。
「間もなくオープン」予定だったのに……
2015年に1号店がオープンした書籍専門店アマゾン・ブックスは米国12州とワシントンDCで24店舗を展開していました。カスタマーレビューで評価が星4つ以上の商品を中心に品ぞろえをするというユニークなコンセプトのアマゾン4スターも、2018年から現在までに17州で33店舗を展開しています。
2021年10月には、ロンドンのショッピングモール「ブルーウォーター(Bluewater)」にも出店。翌月にはロンドン西部ホワイトシティにあるショッピングセンター「ウエストフィールド・ロンドン(Westfield London)」にも出店したばかり。モールの通路などでアマゾン製品を展示販売するアマゾン・ポップアップも、米国7州とワシントンDCの合計9カ所、店舗がありました。
少なくとも筆者が3月3日にホームページで確認した時点では、ニューヨーク州シラキュース地区にあるショッピングモール「デスティニーUSA」など16カ所のアマゾン4スター店舗は「間もなくオープンする(Coming Soon)」という記載があったので、リアル店のスクラップは急な方針転換だったと思われます。
一方、レジなし決済システム「ジャスト・ウォーク・アウト(Just Walk Out:JWO)」を導入したコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」やアマゾンが自社開発したスーパーマーケット「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」、買収した食品スーパー「ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)」の展開に変更はありません。今後、アマゾンのリアル店舗展開は、破壊的イノベーションであるJWO導入店を中心に加速していくことになりそうです。
今年1月に、このコラムの記事(「アマゾンと組んだスタバ新NY店はブラック職場なのか?」)で書いたように、アマゾン・ゴーは2021年11月、コーヒーチェーン最大手スターバックスと提携した「スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴー(Starbucks Pickup with Amazon Go)」をニューヨーク・マンハッタンにオープンしています。
シアトル郊外でも、アマゾン・ゴーの郊外型店舗が間もなく開店する予定で、テキサス州ダラスでは今年夏、空港内第1号店がダラス・フォートワース国際空港ターミナルDにオープンします。アマゾン・フレッシュの26店舗目も、3月17日にシアトル市内にオープン。これでJWOを導入したアマゾン・フレッシュは10店になりました。
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