チェーンストア最大手の米ウォルマートはグローバルな広告代理店事業(メディア事業)の年間売上高が21億ドル(約2400億円)に達したことを明らかにした(写真:後藤文俊)
チェーンストア最大手の米ウォルマートはグローバルな広告代理店事業(メディア事業)の年間売上高が21億ドル(約2400億円)に達したことを明らかにした(写真:後藤文俊)

 電通は、2021年における媒体別・業種別の広告費を推定した「2021年 日本の広告費」を2月24日に発表しました。日本の総広告費は前年比110.4%となる約6兆8000億円。そのうち「インターネット広告費」は約2兆7000億円でした。

 ネット広告費が、新聞、雑誌、ラジオ、テレビの広告費を合計した四大マス広告費の約2兆4500億円を、初めて上回ったのです。

まだ、ほんの序章

 マス広告からネット広告へという流れは、日本より米国が5~10年先を行っています。電通もネット広告事業に力を入れているとはいえ、ネットへのシフトという変化のスピードは想像以上でしょう。

 実は米国では、ネットスーパー市場が巨大化していることを背景に、「大手チェーンストアが広告代理店になる」という事態が、急速に進行しています。

 チェーンストア最大手の米ウォルマートは2月17日に、2021年第4四半期(11~1月期)決算を発表。1年前に刷新したグローバルな広告代理店事業(メディア事業)の年間売上高が21億ドル(約2400億円)に達したことを明らかにしました。

 既にウォルマートは2021年1月に、メディア事業を担う「ウォルマート・メディア・グループ(Walmart Media Group)」を「ウォルマート・コネクト(Walmart Connect)」と名称変更。

 DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)事業などを展開する米トレード・デスク(Trade Desk)と提携し、メディア事業の売り上げを一層拡大すると発表しています。

 実際、ウォルマートのメディア事業は、この1年で2倍以上となる136%の成長を遂げています。

 さらにウォルマートは、「今後数年で、メディア事業の売り上げ規模を10倍以上に拡大。米国の大手広告代理店の上位10社に食い込む」という野心的な目標も掲げました。

 そして、2021年2月、デジタル広告の自動運用プラットフォームを展開するスタートアップ企業、米サンダー・インダストリーズ(Thunder Industries)を買収したのです。

 ネットとリアルで1億5000万人の“集客力”を誇るウォルマートが、メディア事業に本気を出してから、わずか1年で約2400億円の売り上げをたたき出したのですから驚きです。

 しかし、これは、ほんの序章にすぎません。

 「米国人の実に9割がウォルマートで買い物をしている」といわれる流通の巨人が本腰を入れたら、どこまでメディア事業が拡大するのか、想像もつきません。