
2022年の年末に、かつてないほど価格が高騰。大きな話題になっている食品があります。「物価の優等生」として親しまれてきた卵です。22年12月には卵Mサイズの1キログラム当たり卸売価格(「JA全農たまご」の東京地区での価格)が平均284円となり、前年同月比で74円も上昇しました。
これは統計が公表されている1993年以降で最高値とのこと。鳥インフルエンザの感染拡大などもあり、値上げせざるを得ない状況になったようです。しかしこれほど価格が上がると、もはや物価の優等生ではなく、物価の劣等生ですね。安さを売りにする、ある食品スーパーでもMサイズ12個入り1パックが199円、税込みだと215円で売っているというのですから驚きです。
「100年に1度の嵐」のような価格高騰
そのスーパーでの、これまでの卵の最高値は2011年の東日本大震災時の180円とのことですから、それを大きく超える異常事態です。23年も飼料価格の高騰は続くようですので、卵の高騰も当面収まらないのでしょう。
では米国における卵の価格はどういう状況か、ご存じでしょうか? 実は米国における卵の価格は、日本以上に“無慈悲な”上昇カーブを描いています。

米農務省(USDA)が発表したデータによると22年11月の卵の価格は1年前に比べて49%も上昇しました。大きな要因は22年2月から米国で流行した鳥インフルエンザの影響です。同省によると、鳥インフルが拡大したことで産卵鶏約4300万羽を含む合計約6000万羽が殺処分されています。その結果、卵の生産量は21年11月の約93.7億個から22年11月には約88.7億個へと5%も減少しました。
米国は、こうした卵の供給量自体の減少に加えて、飼料価格やエネルギーコストの上昇という要因も加わったパーフェクトストーム(100年に1度の嵐)に襲われています。さらにホリデーシーズンである年末年始は、自宅で食事をする機会が増える上に、パーティー用のケーキなどを作る人も多くなるので、卵の需要が急拡大。需要と供給の乖離(かいり)が大きく、しかも、一旦上がった価格が下がりにくい状態が続いています。
そこで筆者は先日、近所にあるディスカウントスーパーのアルディで卵の価格を調査しました。するとLサイズ12個入りが4.49ドル(1ドル133円換算で約600円!)になっていました。私の記憶では、1年前は1ドル前後で、高い時でも2ドルくらいでしたので、まさに大違い。米国のロープライスリーダーを自認するアルディでさえ“恐るべき”価格にせざるを得ない状況になっていたのです。
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