日本の富裕層は経営者と開業医

 ではお金持ちになれる確率の高い職業は何か。それは経営者と開業医である。

 医師免許を持つ人の数は国内に30万人強存在する。医学部に合格する学生が毎年1万人弱おり、そのほとんどが国家試験に合格する。その点でもスポーツ選手や芸能人よりずっと多い。30万人のうち、開業医は10万人強いる。

 では経営者の数はどれくらいいるのか。日本には約400万の会社が存在する。複数の会社を経営する人も多く、また実質休眠している会社もあるため、仮にその4分の3としても300万人の社長がいることになる。日本の就業者数6600万人を分母にすると、「働いている人の22人に1人は社長」という計算になる。もちろん社長といってもピンキリである。しかし社長の中でもトップクラスと見なすことができるであろう、上場企業の社長だけでもおよそ3800人もいるのである。テレビに出るような職業は目立つため中高生の憧れの的になりやすいが、実現確率、現役を続けられる年数、所得水準を考えたら、経営者を目指す方がよほど堅実であると私は思う。

 もう一つ、経営者、特に創業経営者には他の職業では得ることのできない富の源泉がある。それは「自社株」である。

経営者の富の源泉は、多くの場合、給与ではなく株にある(写真:Andrey_Kuzmin/Shutterstock.com)
経営者の富の源泉は、多くの場合、給与ではなく株にある(写真:Andrey_Kuzmin/Shutterstock.com)

給料では大富豪にはなれない

 米誌『フォーブス』の長者番付によれば、本稿執筆時点(21年11月1日)のトップはジェフ・ベゾス(米アマゾン・ドット・コム創業者)で、資産額はおよそ20兆円である(数字は全て日本円に換算した上での概算。以下も同様)。2位はイーロン・マスク(米テスラ創業者)の約17兆円と続く。長年このリストのトップに君臨してきたビル・ゲイツ(米マイクロソフト創業者)はいまだ4位につけており、その資産額は約14兆円だ。

 日本人の中でのトップは5兆円の資産を持つ孫正義(ソフトバンク創業者)、そして柳井正とその家族(ファーストリテイリング創業者)、滝崎武光(キーエンス創業者)と続く。

 このリストに載っている人物の特徴はといえば、ほぼ全員「創業経営者」であり、持ち株の価値上昇と配当によって富を築いたことにある。孫正義が会社から受け取る給料(役員報酬)を30年分足し合わせても、とても5兆円には届かない。

 スポーツや芸能のトップクラスで、仮に年収10億円を10年続けられたとしても100億円である。100億円は確かに大金だが、1兆円に達することはない。創業した企業を大きく育てるのは、これほどまでに資産を膨張させるのである。

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