芸能界は3万人の椅子取りゲーム

 次に芸能界を見てみよう。現在、芸能人の所得を知るすべがないため、そのヒントとなる数字を見てみよう。20年年末で活動を休止したトップアイドルグループ「嵐」のファンクラブ会員数は約300万人ともいわれる。会員は4000円の年会費を払うため、ジャニーズ事務所は嵐のファンクラブビジネスだけで少なくとも約120億円の収入を得ていることになる。それに加えてコンサートなどの興行収入、CD販売や音楽配信で得られる収入、メディア出演料などが加わる。その合計からジャニーズ事務所の取り分を差し引き、5人で割った金額が個々のメンバーの所得になるはずだ。彼らの所得は相当な金額にのぼるだろう。

 しかし芸能界もスポーツ界と同様に人数が少ない。私が芸能プロダクションの経営者から直接聞いた話では、モデルも含めた一般に芸能人と呼ばれる人の数は日本に約3万人である。なかなかの就業者数に見えるが、この中には芸能活動だけでは生活できない人も含まれており、誰でも顔と名前が分かるレベルの芸能人は100人はいるが、500人はいない。だから実質的にはプロ野球選手並みの狭き門である。

 またこの人数は30年来、全く変わっていないそうだ。ビジネス的にいえば、30年間芸能人の需要が3万人で横ばいであることを示す。パイの大きさが変わらないため、新人が入ってくると古い人が出ていく。芸能人にはそれぞれ「ポジション」と見なされる場所がある。例えばかつて堀北真希という俳優がいたが、彼女は結婚して芸能界を引退した。彼女がいなくなると、別の人がすっとそのポジションに収まる(私の意見では有村架純、かな?)。

 私は堀北真希は堀北真希でしかないと思っていたが、どうやらそうではないらしい。青春ドラマの主人公、刑事役や犯人役、ママタレなどの様々なポジションが存在し、そこが空くと他の誰かがすっと入ってくる。

 まさに芸能界は「3万人の椅子取りゲーム」なのである。

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