悲観的な人は株に手を出さないほうがよい

 しかし『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』(日経BP)で語られている通り、世の中は過去よりもあらゆる面でずっと良くなっている。楽観的な視点で企業や株式市場を見つめ直したら、それらは事業と投資の活動を通じて世の中をより良くしようとしている人たちの集まりであると捉えられるようになった。そうであれば、上場企業は総じて見れば成長する可能性が高いと考えることができる。

 とは言え、個別の企業が本当に成長するかどうかは分からない。自分の経験や周りの事業家との付き合いの中で実感するのは、どんな新規事業も成功するかどうかは事前には全く予測できないことだ。そもそも失敗しようと思って事業を始める人はいない。誰もがうまくいくと考え、周りの人を説得し、お金を集めたり予算を取ったりして、汗水たらして客に提案する。それでもうまくいくのは千に三つ。だから最後は確率論、平たく言えば「運」である。

 株式投資に話を戻せば、詳細な分析に基づいて個別の銘柄を買うとしても、最終的は「期待」するしかない。だから投資家は、楽観的な態度で物事を見る習慣をつけなければならないのだ。

 チャート分析に基づく銘柄選びに時間を使い、短期的な株価の上下に一喜一憂するのは貴重なお金と時間のムダである。それならば「日経225」や「S&P500」などに連動したインデックスファンドを毎月決まった日に一定額買い続けるほうが、長期的にはお金を増やせる可能性が高い。これは様々なデータが証明している。

 また、あえて断言するなら悲観的な人は株式投資には手を出さないほうがよい。買った株が上がってもせっかくの利益が減るのが怖くて小さな利益で手放してしまいがちだし、不定期に必ず起こる暴落時には「狼狽(ろうばい)売り」しがちである。利小損大の取引の繰り返しにより、お金を減らす結果になる。それでも株式投資でお金を増やしたいなら、楽観的なモノゴトの見方を体得すべきであろう。

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