残念な投資家の特徴③ 世の中に対して悲観的である

 本稿の読者も思い当たる節があるかもしれない。毎日情報収集を怠らず、しっかり勉強しているとどうしても世の中に対して悲観的になってしまうものである。

 勉強とは既に事実として確定したことを頭に入れることだ。日本経済はバブル以降低迷して、平均所得は一向に上がらない。高齢化はますます進んで社会負担は増すばかり。だから日本経済の先行きの見通しは暗い。それを何とかしようとアベノミクスが始まって、株価も上がったし雇用も増えた。しかし国の財政赤字は増える一方で、日銀が多くの上場企業の実質的な大株主になるなど、新しい問題も発生した。これらの情報に基づいて論理的に考えれば、未来はそれほど明るくない、という結論が出る。

 ところが、日本の企業業績はゆっくりとだが改善し、日本の上場企業の利益は年々増えている。任天堂は次々に新しい製品を成功させ、ソニーグループも復活した。過去10年近くのそうした状況を見ると、テレビや新聞が暗い話題ばかり報道していても、いい会社は成長するのである。

 私が悲観的な自分に気づいたのは、ちょうど株式投資を再開した頃だった。スマホに配信されるウェブニュースが同じ話題ばかりで、ダイエットやアンチエイジングの広告ばかりが表示されているのに気づいたのがきっかけだ。世の中こんなに話題があるのに、これは不可解だ。ご存じのように、ウェブニュースは「その端末の利用者が読みたいであろうニュース」を閲覧履歴から峻別(しゅんべつ)して配信している。ということは、私の閲覧履歴からは「悲観的なニュースを好む中年」と分析されていたのだ。

悲観的に物事を見る習慣によって、チャンスを逃すこともある(写真:polkadot_photo/Shutterstock.com)
悲観的に物事を見る習慣によって、チャンスを逃すこともある(写真:polkadot_photo/Shutterstock.com)

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