残念な投資家の特徴② 科学的に考えようとし過ぎる

 株価の本質は企業の利益である。利益はその企業が販売する商品やサービスがどれだけ多くの客から満足を得られるかによって決まる。この部分は科学では測れず、完全にアートの世界だと私は考える。この「お金を生む最も小さな単位」がアートである以上、企業業績を正しく予測することは不可能である。

 しかし勉強好きな人は株式の動きに何か法則があるはずだと考える。少なくとも過去の私はそうだった。そして研究するのが「テクニカル分析」である。

 私は実は2010年ごろ、日経平均の数字を用いて「ゴールデンクロス/デッドクロス理論」の妥当性をシミュレーションした。その結果、当てはまるときもあれば、当てはまらないときもあった。加えてその有効性はランダムだ。つまり「全く役に立たない」ということが判明した。

 その他の代表的な手法も全てシミュレーションしたが、その有効性は星占いと変わらなかった。Aという必勝法があるとする。確かに、ある時期・ある期間を取るとAで大勝ちすることがあるが、別の時期では大負けすることもある。では別のBを組み合わせるとどうかと言えば、パターンが見いだされなくなったりする。成果が実証できる法則は一つもなかった。それまでは「チャートを見ながら売り買いすべきで、勝てないのはチャートへの理解が足りない」と思っていたが、そうではなかったのだ。

 このことは、株価形成の基本に立ち返れば理屈上明らかである。株価は「将来の利益予想」で決まり、過去の株価は全く影響を与えない。チャートはいかなる形をしていようとも過去の情報であることには変わらない。だからチャートを見ても株価は予測できないのである。

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